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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
少し以前に418ミリオンの大型訴訟についてお伝えしました。
こちらの項については今後のアメリカ不動産の売買を検討する方々から反響を頂きましたが、その和解条件については本年7月以降に施行が開始される予定です。
そして最近、今度は米国司法省(DOJ)が全米不動産業者協会(NAR)の調査を再開する、という趣旨の記事が出てきました。
このことについては先日の418ミリオン大型訴訟とは全く別のものですが、多少混同されている様子。
そこで本項では米国司法省(DOJ)による訴訟について、その全体像をお伝えしておきたいと思います。
今回の
「米国司法省(DOJ)が全米不動産業者協会(NAR)の調査を再開した」
とは、その大元はこちらです。
■ 司法省、全米不動産業者協会に対して独占禁止法違反の訴訟と同時和解を提案、特定の反競争的規則の廃止と改正を要求
■ アメリカ司法省が全米不動産業者協会(NAR)に対して民事訴訟を提起し、NARが不動産業者間の競争を違法に制限していると主張
■ 同時に提案された和解案では、NARに対し、ルールを改正して透明性を高め、不動産業者の報酬に関する情報提供を改善することを要求
■ この和解案が承認されれば、不動産市場の競争が促進され、消費者にとってより多くの選択肢とより良いサービスが提供されることになる
■ NARの現行のルールでは、不動産業者の報酬情報の非開示、誤った無料サービスの表示、MLSリスティングのフィルタリング、NAR加盟不動産業者のみへの物件アクセス制限が可能になっており、競争を低下させている
■ 和解案には公的な意見募集期間が設けられ、最終的な判断が公益にかなうものと判断された場合に法的な効力が与えられる予定
(英版記事タイトルの日本語訳)
。。。
上記を読むだけでも、先日のリスティングエージェントが負担するコミッション慣例に対する訴訟とは似て非なることが分かりますが、要は
- 不動産業者の報酬情報の非開示
- 誤った無料サービスの表示
- MLSリスティングのフィルタリング
- NAR加盟不動産業者のみへの物件アクセス制限
これらが平等な競争を阻害している、というものでした。
訴訟背景
要は、この訴訟の背景としてはアメリカの不動産業界で長きにわたり問題視されてきた点が顕在化してきたことによります。
全米不動産業者協会(NAR)は不動産業者たちがどのようにして顧客のリスティングを扱い、また互いに協力するかを定める数多くのルールを取り決めており、特に「参加規則」と「明確な協力ポリシー」という点が注目されていました。
これらのポリシーは「リアルタイムでの情報共有を強化し、業界内での競争を促進する」という目的があったものの、一部ではこれが独占的な行動を助長しているとの懸念があったのです。
アメリカ司法省(DOJ)はこれらの懸念を認識しており、NARの業務実態を詳細に調査することを決定。
特に、NARの定めるルールが不動産市場における競争を不当に制限している可能性があるかどうかを検証することとなりました。
そして長期にわたる調査の末、2020年11月にDOJとNARは重要な和解に至ります。
この和解合意では、NARは一部の施行内容を見直し、より透明性を高めることに同意しました。
具体的には、不動産業者が他の業者との間でリスティング情報を共有する方法や顧客との契約条件を公平にすることが求められ、また合意には将来的にDOJが新たな情報に基づき調査を再開する可能性についての記述が含まれていなかったことが、後に大きな議論の対象となっています。
再調査へ踏み込む
この和解は本当に一時的な和平で、バイデン政権の下で新たな司法省体制が始まると、2021年に入り事態は再び動き始めます。
新たな管理下で、なんと司法省は和解合意の撤回を決定し、NARに対する調査を再開する方針を明らかにしたのです。
これに対しNARは自身を守るための法的措置を講じ、再び法廷での争いが始まることになります。
「リアルタイムでの情報共有を強化し、業界内での競争を促進する目的」
を持つNARのポリシーの一例として
「明確な協力ポリシー(Clear Cooperation Policy)」
が挙げられます。
このポリシーは2020年に導入されたもので、不動産業者がMLS(不動産情報サービス)にリスティングを登録する際のルールを定めています。
この目的は不動産の売り出し情報をMLSシステムを通じて速やかに共有することで、市場の透明性を高めることにあります。
具体的には、不動産業者が売却契約を結んだ物件をMLSに登録する際、その情報を一日以内にシステムに入力する必要があるという規定です。
これにより全ての業者が同時に同じ情報にアクセスできるため、消費者に対してより広範な選択肢を提供し、公平な競争環境を促進することになります。
とどのつまり、このポリシーは一部の業者が特定の顧客にだけ物件情報を提供して他の業者や消費者から情報を隠す「ポケットリスティング」(非公開リスティング)の慣行に対抗するために導入されたものでした。
ポケットリスティングは市場の透明性を低下させ、不公平な利益をもたらす可能性があるため、明確な協力ポリシーによってこのような慣行を制限し、すべての関係者が平等にアクセスできる情報の共有を促したわけです。
そしてバイデン政権の下で司法省人事が変わったことにより事態が再び動き始めた主な理由は、新しい政権が以前の政権とは異なる政策優先順位とアプローチを持っていたからです。
バイデン政権は
- 消費者保護
- 公正な市場競争の促進
- 反トラスト法の厳格な適用
に重点を置いています。
特に不動産業界において、市場の透明性を確保し、消費者に公平なアクセスを提供することは、バイデン政権の重要な目標の一つでした。
このため、全米不動産業者協会(NAR)のビジネスプラクティスに対する新しい調査や、以前の和解合意の再評価など、独占禁止法に基づく規制の強化が推進されたことになります。
。。。
このような流れで、今回は米国司法省(DOJ)が全米不動産業者協会(NAR)の調査を再開するに至っています。
先日の大型訴訟の和解に引き続いて災難続きの全米不動産業者協会ですが、少なくとも消費者にとってより良い取引環境の整備につながることを祈るばかりです。
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