こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
全米で最もGDPの高いカリフォルニア市場に焦点を当てています。
率直にいえば、2024年の不動産市場はいろんな要因が複雑に絡み合って予測が難しいものです。
特にカリフォルニア州のように人口が多く、変化の激しい市場ではなおさらのことです。
けれどもポイントを押さえて整理すれば、現状が見えてきます。
今回は、住宅価格の動向、販売数と在庫状況、そして地域別の市場分析について分かりやすく見ていきましょう。
住宅価格の動向
住宅価格は、間違いなく数年でかなり上がっています。
カリフォルニア州全体で見ると、経済成長と住宅需要の増加が影響しているのです。
昨日も触れたとおり、2023年8月の中位住宅価格は85万9千ドル。
前年同月比で3.0%の増加です。
住宅価格が上がると、買うのが難しくなるのは当然ですね。
特に初めて住宅を買う若者や低所得層にとっては、大きな壁です。
2023年のカリフォルニア州の住宅購入可能性指数(Housing Affordability Index)は17%で、過去最低の水準。
要は、住宅を買える人が少なくなっているわけです。
それでも住宅を持ちたい人は多いのです。
その理由は簡単で、資産価値が年々増えるから。
特にカリフォルニアのような人気のある場所では、将来的な売却益を見込んで買いたい人が多い。
けれども今は価格が高すぎて手が出せないという、ジレンマがあるわけです。
販売数と在庫状況
次に、販売数と在庫状況です。

これも市場の健康状態を測る重要な指標です。
2023年8月の未販売住宅在庫指数は2.4ヶ月で、前年同月の2.8ヶ月から減少しています。
このことは、売り物件が少なくなっていることを現しています。
そして2023年の住宅販売数は前年同期比で18.9%減少しました。
率直に、これは高金利と高価格が原因です。
2023年の平均30年固定金利(30-Year Fixed Rate Mortgage)は7.19%で、かなり高い水準。
この高金利は住宅ローンの返済額を増やすので、多くの人が買い控えをしていることになります。
この状況下で在庫不足は深刻な問題で、需要と供給のバランスが崩れてます。
供給が追いつかないと価格はさらに上がり、このことは特に低所得層や若年層にとって深刻な問題です。
地域別の市場分析
そして地域別の市場分析です。
カリフォルニア州は広いので、地域によって市場状況が大きく異なります。
ロサンゼルス
サンフランシスコ
サンディエゴ
などの大都市圏では住宅価格が非常に高く、需要も常に高い位置にあります。
これらの都市では経済活動が活発で雇用機会も多いので、移住者が増えて住宅需要が高まります。
その結果、価格も上がるというわけで、結果として大都市の住宅価格は年々上昇しています。
その一方でセントラルバレーやインランドエンパイアなどの地方都市や郊外地域では、住宅価格が比較的安定していることも事実です。
このあたりは土地が豊富で、新築住宅の供給も容易だからです。
このあたりは少し前にTemecula(テメキュラ)編でもお伝えしたとおりですが、リモートワークの普及でこれらの地域に移住する人が増え需要が高まっているので、価格もじわじわ上がってきているのです。
このようなリモートワークの影響もかなり大きく、都市部に住む必要がなくなった人たちが手頃な価格の郊外や地方に引っ越してきているのです。
その結果、これらの地域の住宅需要が増えて価格が上昇しています。
。。。
このような背景をうけ、カリフォルニア州政府としても住宅供給を増やして手頃な価格を維持するためにいろんな政策を試みている最中です。
例えば住宅建設の規制緩和や新築住宅に対する税制優遇措置等がそれにあたり、これらの政策は一定の効果を上げていますが、まだまだ課題は多いのが現状です。
かくしてカリフォルニア不動産市場の現状は複雑で、住宅価格の上昇、販売数と在庫状況の変動、地域ごとの特性が絡み合ってます。
とはいえ、前述のように高金利時代でも消費者の需要は高いままです。
ここから消費者に視点を当てて、
- 住宅所有の需要とトレンド
- 賃貸と所有の比較
- 消費者心理と購買意欲
という切り口でカリフォルニア市場を見てみましょう。
明日に続けます。
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