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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
米国最大級の住宅ローン貸し手の一つとしてユナイテッド・ホールセール・モーゲージ(UWM)があります。
このUWMがなんと最近頭金ゼロの住宅ローンプログラムを発表し、注目を集めているようです。
このプログラムは、地元の中央値世帯収入の80%未満の所得を持つ低所得の初回購入者が購入価格の97%まで借り入れることを許可するとのこと。
そして残りの3%、つまり通常の頭金部分はUWMが利子なしの第二抵当としてカバーします。
借り手はこの第二抵当について毎月の支払いを行う必要はありません。
物件を売却または再融資する際に、第一抵当と第二抵当の両方を全額返済することになります。
実際のところ、3%の頭金で許可するモーゲージプログラムは今でも存在します。
クレジットスコアをもとにする基準審査はあるものの、最低限の頭金のみ支払って、そこからは
元金一部
利息
モーゲージ保険(頭金が20%以下になると、モーゲージ会社の為に掛け捨て保険をかけねばならない)
の合計からなるモーゲージ支払いを毎月行うことになるのです。
ところが今回のユナイテッド・ホールセール・モーゲージ(UWM)によるプログラムは、低所得者を対象に頭金すら支払う必要がないとのこと。
これは80年代に見られた、新規開発を行うデベロッパーが新築物件の完成後に販売する際の手法にも似ています。
当時も頭金をデベロッパーが肩代わりして、購入者は頭金なしで物件を購入することが出来たのです。
頭金ゼロのネガティブインパクト
そしてこのプログラムの一見魅力的な条件は、2008年のサブプライムローン危機を彷彿とさせます。
当時、多くの人々が低頭金や無頭金で住宅を購入し、結果的に市場の崩壊を引き起こしました。
頭金が不要となることで、購入者の市場への参入障壁が取り除かれ、新しい購入者が一気に増加します。
これにより住宅価格が不自然に上昇し、バブルの形成を助長します。
けれども市場のバブルは必ず崩壊し、その影響を受けるのは主に低所得の住宅購入者なのです。
市場がわずかにでも下落すると、これらの購入者はすぐに住宅ローンの残高が住宅の価値を上回る状態、いわゆるネガティブエクイティに陥ります(別名でアンダーウォーターとも呼ばれます)。
この状況では住宅を売却することも困難で、最悪の場合、自分のお金を多額に負担しなければならなくなるのです。
これは低所得者にとってこれは大きな負担であり、返済はいよいよ厳しいものになります。
信用収縮と貸し手の破綻のリスク
そしてこの流れで多くのローンがデフォルトし、ショートセールが必要になると、貸し手は危機に直面します。
融資基準を厳しくするか、もしくは貸し出しを停止する可能性すら出てくるかもしれません。
最悪の場合、貸し手自体が倒産もあり得るのです。
このシナリオでは2008年の金融危機と同様に、多くの貸し手が倒産し、金融システム全体が揺らぐ可能性が出てきます。
同時に、不動産に裏付けられた債務に投資している人々にとってこのプログラムの導入は大きなリスクを伴います。
市場が不安定化するとノンパフォーミングローンが増加し、いわゆる投資家の損失が拡大することになります。
いわゆるサブプライムローンと同様の現象が起きてくるのです。
そして住宅市場の不況は失業率を上昇させ、賃貸のデフォルトや立ち退きを引き起こします。
これにより賃貸住宅の需要が減少し、賃貸物件の収益性が低下します。
多くの住宅所有者が賃貸市場に戻ることで一時的に需要が増えるかもしれませんが、それは根本的な解決策にはなりません。
まさにこれは「いつか来た道」であり、2008年以降の時期が再現されることも考えられます。
実際に、低所得者の住宅所有を支援する活動家たちの間でもこのプログラムを歓迎しつつも、そのリスクについては大いに議論されているようです。
多くの場合
「購入者を失敗に導く」
「時限爆弾」
といった表現で議論されていますが、真面目な話、サブプライムローンの悲劇を繰り返さないためには、慎重なアプローチが必要です。
この点はリアルタイムでアメリカ不動産の取引に深くかかわるブローカーとして言わせて頂くと、現状でも頭金ゼロに近い資金でモーゲージを組む層の人々は完全に真っ二つに分かれています。
その二つとは
金銭的に余裕があり、レバレッジ購入を前提として最低限の現金しか使わない層
金銭的に全く余裕がなく、なんとか頭金をかき集める層
この二者のうち、毎月が自転車操業になりがちなのは容易く想像できるのではないでしょうか。
すなわち今回のユナイテッド・ホールセール・モーゲージ(UWM)のプログラムは後者の層を一気に増やす結果になるはずです。
そのリスクを極小化する唯一の方法は、モーゲージ審査の際のスクリーニング基準を下げないことしかないのではないでしょうか。
例えば、仮に
「地元の中央値世帯収入の80%未満の所得を持つ低所得の初回購入者」
という条件を満たしていたとしても、
「クレジットスコアは600以上」
にするなど、信用力の高い層にのみ絞るのです。
実際のところユナイテッド・ホールセール・モーゲージ(UWM)のプログラムが公開しているクレジットスコア基準は「620」とされていますので、この基準が順守される限りは、みだらに低いクレジットスコアでも頭金ゼロで貸し続けた2008年までの状況にはならないとは思います。
この手の頭金ゼロプログラムは一見魅力的に見えますが、2008年の教訓を忘れず、慎重に検討する必要があるように思うのです。
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