こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産市場において、物件の適正な価値を把握することは投資家や個人の購入者、売却者にとって極めて重要です。
少し前にお伝えしたように、当たり前ながら当たり前に実行されていないのが
「良質な物件を購入すること」
です。
市場には数多くの物件が溢れており、自分の求めるリターン基準を満たしてくれる物件は数多くあります。
けれども多くの場合、
「急いで物件を買いたい」
「たくさん見たけれども、あり過ぎてどれがいいのやら」
「モーゲージを考えると今しかない」
という、物件の良し悪しとは全く関係のない感情論の理由で物件を決定してしまうこともしばしば。
その流れで購入した物件がぴたりと自分基準に見合ったものならよいのですが、感情が優勢して、その判断を誤ってしまうパターンも少なくないものです。
そこで不動産投資家としては少しでも良質な物件を獲得できる確率を高めるべく、その判断にはより客観的な尺度で感情が入る隙のない手法が求められます。
そのための手法の一つとして
「不動産比較(リアルエステートコンプス)」
が広く用いられているのです。
不動産比較とは同じ地域内の類似物件を比較することで、対象物件の市場価値を見極める手法です。
本項では不動産コンサルタントの視点から、不動産比較の重要性とその具体的な活用方法についてみていきましょう。
同一条件での比較
不動産比較を行う際の基本的な考え方として、同一条件での比較が不可欠です。
同一条件とは
- 物件の種類
- サイズ
- 販売履歴
などの情報が含まれます。
特に重要なのは、類似物件の選定において、現在の市場動向を反映した最新のデータを使用することです。
一般的には対象物件と同じエリア内で、過去3〜6ヶ月以内に売買された物件を比較対象とします。
そして不動産比較の手法は、不動産取引の各段階で異なる形で活用されます。
例えば、購入者は購入予定の物件が適正価格であるかを判断するために比較を行います。
特に、異なる地域に移住する場合や、地元市場に詳しくない場合には、不動産比較が有効な判断材料となります。
また、売却者にとっても、不動産比較は適正な売却価格を設定するためのガイドラインとなります。
適正価格を設定することで、物件の市場での滞留時間を短縮し、迅速な売却を実現することができるのです。
さらに、不動産業者やアプレイザー(評価士)は、不動産比較を用いて物件の評価を行います。
評価士が行う評価は、融資機関が融資額を決定する際の基準となるため、その正確性が求められます。
このように、不動産比較は、購入者、売却者、不動産業者、評価士の全てにとって重要なツールであり、それぞれの目的に応じて活用されるわけです。
比較方法

不動産比較を行う方法としては、いくつかの選択肢があります。
オンラインの不動産サイトを利用して、類似物件のデータを収集する方法が一般的です。
例えば
Zillow
Redfin
Trulia
Realtor
などのサイトが利用できますが、これらのサイトの推定価格は必ずしも正確ではないため、実際の取引データを基に自分自身で比較を行う必要があります。
また、不動産業者と契約している場合は、MLS(Multiple Listings Service)を利用した詳細な比較分析(CMA:Comparative Market Analysis)を依頼することも可能です。
自分で不動産比較を行う場合、公共の不動産記録を調査する方法もあります。
地方自治体のウェブサイトやカウンティの評価事務所で公開されているデータを利用して、対象物件の情報を収集します。
また、オンラインの自動評価ツールを利用することも一つの方法ですが、これらのツールは独自のアルゴリズムを使用しているため、その評価プロセスの透明性には注意が必要です。
価格調整
そして不動産比較の際には、複数の要因を考慮して価格調整を行います。
例えば、プールやガレージの有無、部屋数やバスルームの数、物件のスタイルや築年数などが影響します。
一般的には、地上面積に対して1平方フィートあたり20〜40ドルの調整が行われることが多いですが、これは物件の質や市場の動向によって異なります。
正確な価格調整を行うためには、対象市場について十分に理解し、その市場特有の価格動向を把握することです。
。。。
これが不動産比較(リアルエステートコンプス)の主な概要ですが、不動産比較を行う際の基本的なガイドラインとして、以下の点に注意することが推奨されます。
比較対象物件は
- 対象物件から1マイル以内の都市部または郊外に位置するもの
- 築年数が10年以内のもの
- 地上面積が対象物件の20%以内のもの
を選定します。
また
- 物件の種類やスタイル
- 販売時期
- メンテナンス費用
- 税金
なども考慮に入れます。
特に長期投資としての不動産購入を検討する場合は、維持費や税金が収益に与える影響を評価することが重要です。
かくして不動産市場において適正な投資判断を行うためには、不動産比較を活用した詳細な市場分析が不可欠です。
これらの手法を正確に実行することで、投資家は市場価値を的確に見極め、より良い投資判断を下すことが可能となります。
不動産投資家としての視点から不動産比較の重要性とその活用方法について理解を深め、よりよい投資手法を身につけていきましょう。
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