こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産用語についてお伝えしています。
今日は「Cloud on Title(権利の瑕疵)」です。
不動産取引において、「タイトル(Title)」という言葉は極めて重要な意味を持ちます。
不動産の所有権が誰にあるかを示す証明書のようなものですが、その所有権に問題がある場合、それを「Cloud on Title(権利の瑕疵)」と呼びます。
このことは不動産の取引において大きなリスクを伴うため、特に慎重に扱う必要がある問題です。
今回はCloud on Titleの具体的な意味、発生する原因、そしてどのようにして解決できるのかについて詳しく見ていきましょう。
初心者でもわかりやすいように、具体的な例を交えながらポイントを押さえていきます。
Cloud on Title(権利の瑕疵)とは
「Cloud on Title(権利の瑕疵)」とは、不動産の所有権に何らかの問題がある状態を指します。
Cloud本来の「クラウド、雲」の意味を考えると分かりやすいのではないでしょうか。
要するにその不動産の所有権が法律的に不完全である、または誰が所有しているかについての疑問がある、という状態です。
この問題が存在する限り、不動産の取引や譲渡がスムーズに進まない可能性があります。
たとえば以前の所有者が不動産に対して未払いの抵当権(担保)がある場合や、登記が不完全な場合、権利の瑕疵が発生します。
この瑕疵を解消しない限り、買主は完全な所有権を得ることができないため、問題が解決されるまで取引は保留されることが多いのです。
Cloud on Titleが発生する原因
権利の瑕疵はさまざまな原因によって発生します。
よくある原因をいくつか挙げてみましょう。
- 未払いの抵当権や担保権
不動産に対して住宅ローンや借入金の担保として設定された抵当権がまだ未払いの場合、それはCloud on Titleに該当します。この場合、借入金を返済し、抵当権を解除する手続きを取る必要があります。
- 税金の未払い
不動産に関連する未払いの税金がある場合も、権利の瑕疵が発生します。地方税や固定資産税が未払いである場合、その不動産には税金を回収するための権利が課されることがあり、これを解消しない限り、所有権が完全に移転できません。
- 不適切な登記
所有権の登記に誤りがあったり、前の所有者が正式に登記を行っていない場合も、Cloud on Titleが発生します。たとえば、物件の売買が完了しても、新しい所有者としての記録が正式に残されていない場合、その不動産の所有権は不確実な状態です。
- 遺産相続の争い
相続に関して未解決の問題がある場合、たとえば、亡くなった所有者の遺言が無効だと主張する相続人がいる場合や、複数の相続人が権利を主張している場合も、Cloud on Titleが発生します。このような場合、相続人間の法的な問題が解決しない限り、物件を売却することは難しくなります。
- 他の所有者の存在
共同所有している不動産において他の所有者が不動産を売却することに同意していない場合や、その所有者の所在が不明な場合にも、Cloud on Titleが発生します。このような場合、所有権の一部が未解決のまま残るため、完全な取引ができません。

Cloud on Titleの影響
Cloud on Titleが存在すると、取引にいくつかの重大な影響が出ます。
その代表的な影響を挙げてみます。
- 不動産取引が保留になる
Cloud on Titleがある状態では、不動産の取引が保留される可能性があります。買主は完全な所有権を得ることができず、売主も物件を自由に売却できません。そのため、問題が解決されるまで取引は進まないか、場合によっては中止されることがあります。
- 所有権が完全でない
Cloud on Titleが存在する場合、所有権は完全ではありません。たとえば、他の権利者がその物件に対して法的に主張できる場合、買主はその問題を引き継ぐことになり、後々法的なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
- 資金調達の難航
住宅ローンを利用して物件を購入しようとする場合、金融機関はその物件に問題がないことを確認した上で融資を行います。しかし、Cloud on Titleがある物件では、金融機関がリスクを考慮し、ローンの承認を保留したり拒否したりすることがあります。そのため、買主が資金を調達するのが難しくなる場合があります。
- 販売価格の影響
権利の瑕疵がある物件は、通常の市場価格よりも低く評価されることがあります。これは、購入後に解決しなければならない問題があるため、買主が追加のコストやリスクを負う可能性があるためです。その結果、売主は物件を安く売らざるを得ない状況になることがあります。
Cloud on Title(権利の瑕疵) が一たび見つかると、かくもやっかいなものです。
Cloud on Title(権利の瑕疵)について、明日に続けます。
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