こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
賃貸関係でお伝えしています。
年末年始に案外増えるのが、賃貸関係のトラブルです。
年末年始こそゆっくりと過ごしたいものですが、テナントの中には年末にこそトラブルを生んでくれる場合も少なからずあるものです。
そしてそのトラブルメーカーが他人ではなく親族だった場合。。
これがなかなかやっかいなのです。
そこで今回は
「家族やゲストを家から退去させるための法的ステップ」
についてみていきましょう。
ありがちなのが、
「親類であるが故に、賃貸契約を交わしていない」
というパターンです。
特に、賃貸契約がない場合にどのように対応すればよいか、基礎的なポイントを中心にみていきましょう。
親類に退去頂く事前準備
家族や親しい人を家から退去させるというのは感情的に難しいテーマかもしれませんが、実際にこうした問題は多くの住宅所有者が直面する現実的な課題です。
こうした状況に対応するための法的枠組みや基本的なステップについて整理していきます。
まず初めに、対象者が法的にどのような立場にあるかを確認する必要があります。
具体的には、対象者が「賃借人」または「許可居住者(Licensee)」に該当するのか、あるいはそのどちらでもないのかを明確にすることが大切です。
賃借人とは、通常正式な賃貸契約を結び、家賃を支払っている人を指します。
けれども州によっては、家賃の支払いがなくても一定期間その物件に住んでいるだけで賃借人として扱われることもあります。
一方、許可居住者とは、家賃の支払いがない場合でも、住宅所有者の許可を得て一定期間住んでいる人を指します。
たとえば、親戚や友人がしばらく滞在する場合などがこれに該当する可能性があります。
州の法律によっては、許可居住者であれば退去通知なしにそのまま退出を求めることが可能な場合もありますが、多くの場合、何らかの正式な退去手続きが必要になります。
そのため、まずは地元の法律に基づいて、対象者の法的立場を確認することが肝要です。
退去通知を正式に送る
そして退去を求めるためには、退去通知を正式に送ることがいずれにせよ必要になります。
この通知には、対象者が退去すべき具体的な理由や期限を明記する必要があります。
- 退去通知の形式は州や市によって異なりますが、一般的には以下の要素が含まれるべきです。
- 退去期限(通常3日から30日の範囲で、州の法律に従います)
- 退去理由(居住契約の終了や家賃未払いなど)
- 条件を満たせば退去を回避できるかどうか(たとえば、未払い家賃の支払いなど)
退去通知は書面で行い、可能であれば専門の弁護士に依頼して内容を確認してもらうことをお勧めします。
こうすることで通知の内容に問題が生じるリスクを減らし、法的手続きがスムーズに進みます。
いずれにせよ絶対的なルールは
「口頭で通知しないこと」
です。
親類であるほど感情面で難しいかもしれませんが、強制退去まで考えるのであれば、抜き差しならぬ事情があったはず。
そこにはもやは、親類を必要以上にかばう理由はないのかもしれません。

訴訟に踏み切る
そして退去通知を送った後、対象者が期限内に退去しない場合、次のステップとして裁判所に訴訟を起こす必要があります。
これは「不法占拠審理(Unlawful Detainer Hearing)」と呼ばれる手続きで、裁判官が退去を命じるべきかどうかを判断します。
この手続きでは、以下の点が審査されます。
- 退去通知が適切に送られているか
- 退去理由が正当であるか
- 対象者が退去通知の条件に従ったか
裁判所が貸主側に有利な判断を下した場合、退去命令(Order of Eviction)と占有権返還令(Writ of Possession)が発行されます。
これにより、対象者が合法的に退去しなければならないことが確定します。
ただし、裁判所の命令を受けても、対象者がなお退去しない場合、法執行機関に依頼して強制退去を行う必要があります。
具体的には、地元の保安官が対象者を退去させ、その物件の占有権を貸主に戻します。
これらの法的プロセスを進めるためには、貸主として以下の点に注意する必要があります。
まず、賃料を受け取らないことです。
賃料を受け取ると、その対象者にさらなる居住権を与えることになり、退去手続きが複雑化する可能性があります。
たとえば、カリフォルニア州では、賃料を受け取るたびに退去通知の期限が再設定されてしまうことがあります。
また、対象者と初期段階で期待値を明確にしておくことも重要です。
家族や友人を受け入れる場合でも、書面やメールでルールや条件を伝えておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。
たとえば、滞在期間や家事分担、金銭的な負担などを事前に話し合い、文書化しておくと良いと思います。
そして最終手段として、交渉による解決も検討すべきです。
金銭的な補償を提示することで、法的手続きよりも早く円満に退去してもらえる可能性があります。
たとえば、引っ越し費用を負担する代わりに速やかな退去を求めるなど、双方が納得できる条件を模索してみましょう。
退去手続きには感情的な負担も伴いますが、法的枠組みを理解し、冷静に対処することでスムーズな解決を目指したいものです。
そこで次回はこれらの基礎知識を踏まえ、実際の退去手続きやトラブル回避のための具体的な方法についてみていきましょう。
明日に続けます。
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