こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は強制退去に関するルールについて、州ごとの違いを簡単に触れました。
このあたりの議論は投資家の間でもあり、
「〇〇州はオーナーとテナント、どちらの立場が強いですか」
という質問をたびたび受けることがあります。
そこで昨日は簡単に触れた程度ですが、今日は州を広げて
- アーカンソー州
- テネシー州
- アラバマ州
- ミズーリ州
- カンザス州
における強制退去ルールの違いについて、詳細を見ていきましょう。
これらの州では、強制退去に関する法律や手続きがそれぞれ異なり、私たちにとっても、テナントにとってもその影響は大きいものです。
各州ごとの特徴や具体的な手続きについて掘り下げ、オーナーがどのように対応すべきかを簡潔にいきます。
アーカンソー州 (Arkansas): オーナーに圧倒的有利な州
アーカンソー州は、全米でも特にオーナーに有利な法律が整備されている州の一つです。
その背景には、州全体でテナント保護規制が弱いことが挙げられます。
特徴
退去通知期間が短い
家賃滞納の場合、オーナーは3日間の「支払いまたは退去通知」を出すだけで、法的手続きを開始できます。
カリフォルニア州のようなテナント保護の強い州では考えられないことですが、4日目には法的手続きを開始できることになります。
刑事罰が適用される可能性
特筆すべき点は、テナントが家賃滞納を続ける場合、刑事罰の対象になるケースがあることです。
このような法律は他州にはほとんど存在せず、アーカンソー州特有の特徴です。
手続きの流れ
オーナーはまず「支払いまたは退去通知」を出し、テナントに3日間の猶予を与えます。
その後、不法占拠訴訟を提起することで、裁判所が迅速に退去命令を発行します。
通常、裁判所の命令が出た後、保安官が1週間以内に退去を執行します。
注意点
テナント保護が弱いため、トラブルがエスカレートする可能性がありますので、その点は注意です。
テネシー州 (Tennessee): バランスの取れた州
テネシー州は、オーナーとテナントの双方に配慮したバランスの取れた法律が特徴です。
強制退去の手続きは比較的スムーズで、法律も明確に定められています。
特徴
通知期間の柔軟性
家賃滞納の場合、14日間の「支払いまたは退去通知」が必要です。
裁判所での迅速な対応
訴訟を提起すると、裁判所は1週間以内に審理を行うことが一般的です。
手続きの流れ
まずオーナーは14日間の通知を出します。
テナントが支払いや退去を行わない場合、不法占拠訴訟を提起します。
判決が下された後、保安官が速やかに退去を執行します(通常は1週間程度)。
注意点
明確な手続きがあるものの、テナントが反論した場合、手続きが遅れる可能性があります。
アラバマ州 (Alabama): 比較的オーナー寄りの州
アラバマ州も、オーナーにとって比較的管理しやすい法律が整備されています。
強制退去のプロセスは明確で迅速ですが、基本的なテナント保護も確保されています。
特徴
退去通知期間が短い
家賃滞納の場合、7日間の「支払いまたは退去通知」が必要です。
裁判手続きの迅速さ
裁判所での手続きは通常2週間以内に完了します。
手続きの流れ
オーナーはまず7日間の通知を出します。
テナントが対応しない場合、不法占拠訴訟を提起します。
判決後、保安官が1週間以内に退去を執行します。
注意点
裁判所での手続きが迅速である反面、通知が適切でない場合は訴訟が無効になるリスクがあります。
それゆえに、手続きは専門家に委ねるのが得策です。
ミズーリ州 (Missouri): 明確で迅速な手続きが特徴
ミズーリ州では、強制退去プロセスが明確に規定されています。
オーナーが適切な手続きを踏めば、比較的スムーズに物件を取り戻すことが可能です。
特徴
通知期間の柔軟性
通常、家賃滞納の場合10日間の通知が必要です。
裁判所手続きの速さ
訴訟が提起されると、裁判所は2週間以内に審理を行うことが多いです。
手続きの流れ
10日間の通知後、裁判所で不法占拠訴訟を提起します。
判決後、保安官が迅速に退去を執行します(通常1~2週間)。
注意点
手続きはスムーズですが、地方裁判所ごとに対応が異なるため、地域差があります。
カンザス州 (Kansas): フレキシブルな州
カンザス州では、柔軟でシンプルな法律が整備されています。
オーナーが適切な手続きを踏む限り、問題が起きることは少ないです。
特徴
通知期間が短い
家賃滞納の場合、3日間の「支払いまたは退去通知」が必要です。
裁判所手続きがスムーズ
訴訟提起後、裁判所は1週間以内に審理を行います。
手続きの流れ
3日間の通知後、不法占拠訴訟を提起します。
判決後、保安官が速やかに退去を執行します(通常1週間程度)。
注意点
テナントが反論した場合、手続きが遅れる可能性があります。
。。。
上に挙げたは、それぞれ強制退去プロセスにおいて独自の特徴を持っています。
アーカンソー州のようにオーナーに有利な州もあれば、テネシー州のようにバランスの取れた州もあります。
通常はお使いの管理会社がよく事情を知っているはずですので、法的措置をとるにしても、まずは管理会社に聞いてみるのが最も早いと思います。
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