こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2024年12月の住宅ローン市場は、大きな変化を見せているようです。
特に注目すべきは、30年固定金利型住宅ローンの金利が1か月以上ぶりの低水準に下がり、住宅購入者の需要が急増している点。
実際のところ、年間のアメリカ不動産サイクルとしては今は購入者にとっては好機です。
11月からスタートするホリデーシーズンは一年でとても大切な時期。
この時期にわざわざ物件購入や引越しに動く層は、よほどの事情があってのことです。
私(佐藤)自身はアメリカの一般家庭とは逆張りで、投資家であればこそ最も活発に購入に動くのは今の時期ですが、普通はどこのご家庭も今の時期にわざわざ積極的には動かないものなのです。
そこで
⇒ 金利が下がる傾向
⇒ ホリデーシーズン(なので価格も落としやすい)
という意味では、2024年ではこの年末がより有利なタイミングと言えるかもしれません。
そこで本項では最新の統計データをもとに、住宅ローン金利の低下が市場に与える影響、住宅購入需要の変化、そしてリファイナンス市場の動向について詳しくみていきましょう。
金利低下の現状とその背景
2024年12月初旬、30年固定金利型住宅ローンの平均契約金利が6.86%から6.69%へと低下しました。
これは1か月以上ぶりの低水準であり、住宅購入者にとっての負担を軽減する動きとなっています。
これに加えて、ローン手数料を含むポイントは0.70から0.67に減少し、20%の頭金を伴うローンにおけるコストが一層引き下げられました。
その金利低下の背景には、地政学的リスクや連邦準備制度理事会(FRB)の政策コメントなど、複数の要因が絡んでいます。
フランスや韓国の地政学的情勢の影響が投資家心理に影を落とす一方、FRBの経済楽観論が市場に一定の安定感をもたらしているという具合。
これらの要素が相まって、借り手にとって好ましい金利環境が形成され、住宅ローン需要を後押しする結果となっています。
住宅購入需要の急増:6%の伸び
そして金利低下は住宅購入者の心理に大きな影響を与えています。
2024年12月初旬のデータによると、住宅購入を目的としたローン申請は前週比で6%増加し、2024年1月以降で最高水準に達したとのこと。
これは金利の低下に加え、住宅在庫の増加が市場の需要を下支えしていることを反映しているものと思われます。
その一方で前年同週比では申請数が21%減少しており、これは感謝祭のタイミングが前年と異なる影響と考えられます。
全米住宅銀行協会エコノミストによると
「金利の低下と在庫の増加により、住宅購入者は今年初めよりも多くの選択肢を持つようになった」
とのこと。
リファイナンス需要の低迷
そして住宅購入需要が増加する一方で、リファイナンス市場は引き続き低調です。
データによれば住宅ローンのリファイナンス申請は前週比で1%減少し、前年同週比では7%減少しています。
これは、多くの借り手が現在の市場金利よりもはるかに低い金利で既存のローンを保持していることが主な要因とみられています。
ただし、リファイナンス市場全体が低迷する中でも、FHAおよびVAローンのリファイナンス申請は一部で増加しています。
これは、これらのローンが特定の条件下で借り手に柔軟な選択肢を与えるためではないでしょうか。

市場の今後の見通し
実際のところ、住宅ローン市場の動向は、金利だけでなく、さまざまな経済要因に左右されます。
例えば、2024年12月第1週には以下の経済指標が発表され、これが市場の方向性に影響を与える可能性があります。
ADP雇用レポート
⇒労働市場の健康状態を示すデータであり、FRBの政策決定に影響を与える要因の一つ。
ISMサービス指数
⇒ 経済全体のサービスセクターの強さを示す指標で、金利の将来的な動向に重要。
FRB議長のコメント
⇒ ジェローム・パウエル議長がニューヨーク・タイムズのイベントで発表するコメントも市場の注目を集めています。
これらのデータや発言により、金利の動きがさらに明確になり、住宅ローン市場にも影響を及ぼすと考えられます。
。。。
金利の低下は一時的に住宅購入者の需要を押し上げていますが、これが市場の長期的な安定につながるかどうかは不透明です。
特に、以下の点が政策的な課題として浮かび上がります。
1.住宅供給の拡大
需要の増加に対応するため、住宅在庫を増やす政策が必要。
これにより価格の高騰を抑制し、購入者に多くの選択肢を提供できます。
2.リファイナンス市場の活性化
現在の高金利環境下で、借り手がリファイナンスのメリットを享受できるような柔軟なプログラムの導入が求められます。
かくして、2024年12月の住宅ローン市場は、金利低下により需要が回復基調にある一方でリファイナンス市場の低迷や金利動向への不確実性といった課題を抱えています。
短期的には、低金利と在庫の増加が住宅購入者にとっての好材料となっていますが、長期的な市場安定のためには、供給拡大や柔軟な金融政策が必要ではないでしょうか。
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