こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
年末にあたり、来年2025年に物件売却を検討される方々からご相談を頂いています。
その多くのご相談者が共通して考えるのが
「売却にあたり、極力費用はかけたくない」
「売却前の大掛かりな修繕は避けたい」
「短期間で売却を完了させたい」
という売却戦略です。
コロナ以降の物価高から、アメリカ不動産投資においてもその維持管理費は高くなりつつあります。
修繕一つにしても、ほんの数年前の費用と同じというわけにはいきません。
もっぱら、その分家賃も順当に値上げしていれば問題ないのですが、うまく家賃をあげれていない場合はコストが重くなりがちなのが昨今です。
その意味では売却時も極力出費がかさまないように努めたいのは至極当然ですし、投資物件である以上はそうあるべき。
そして自分の物件を売却する際に、売却費用を極小化したいのであれば、その答えは
「現状のまま(as-is)での売却」
です。
そこで本項では「現状のまま(as-is)」の状態で住宅を売買する際に起こり得る問題と、それを乗り越える方法についてみていきましょう。
仮名でお話ししますが、実例を基にしているため、よりリアルな状況をイメージしやすいと思います。
売却対象の物件に問題
2022年のある夏の日、ジョン兄弟は突然、一軒家を相続することになりました。
この家は彼らの弟が住んでいたもので、弟の突然の死によって所有権が兄弟に移ったのです。
物件は南部のある町に位置し、立地としては非常に良い場所でした。
学校やショッピング施設、レストランが近く、周辺環境も整った魅力的なエリアです。
けれどもその家自体はというと、残念ながらかなりの問題を抱えていました。
敷地の0.4エーカーは荒れ果て、庭には雑草が生い茂り、家の壁にはツタが絡みついているとう状態。
そして最大の問題は、弟と暮らしていたというルームメイトがその家に居座っており、家賃を払わない状態で出ていくのを拒んでいたことです。
物件そのものは弟が所有していた際に、ルームメイトに無料で住まわせていた様子。
弟の所有ですので本人の自由ですが、今となっては所有権が自分たちに移ったために、その対応に困ったのでした。
そこでジョン兄弟は遠方に住んでいたため、自分たちで対応するのが難しく、地元の不動産エージェントに相談することにしました。
売却準備のプロセス

実際のところ、地元の不動産エージェントが物件売却の準備に取り掛かるまでには多くの課題がありました。
まず、居座っていたルームメイトを退去させる必要がありました。
ジョン兄弟は地元エージェントを通して弁護士を雇い、ようやく退去が完了したのは5か月後。
そしてエージェントが初めて家の中に足を踏み入れたとき、その状態に驚きました。
部屋の中はゴミで埋まり、床が見えないほど散らかっており、清掃が必要な箇所だらけだったのです。
そこで地元不動産エージェントはまず、清掃業者を手配し、家の中を整理からとりかかることになりました。
物件を引き継いだ兄弟たちは売却により資産を整理する以外に選択肢はありませんでしたが、もちろん必要以上にお金はかけたくありません。
そこで庭の手入れを行い、外観を改善するために最低限の費用をかけました。
プロの写真家にも依頼し、物件の良さを最大限引き出すよう工夫。
自然光を利用した写真や適切なアングルで撮影することで、実際の状態よりも明るく清潔感のある印象を与える程度のものに仕上げます。
とはいえ、兄弟たちはあくまで「現状のまま(as-is)」での売却を目指していたため大掛かりな修繕は行わず、適正価格で市場に出す方針のままでいきました。
この事例から学べる教訓は、次の2点です。
1.「現状のまま」購入のリスクと準備
物件を現状のままで購入する場合、修繕にかかる費用や時間を考慮することが何よりも肝心です。
そこで物件の状況を把握するため、エージェントを通して必ず専門家(コントラクター)に依頼し、物件の状態を正確に把握する必要があります。
2.売却時の透明性と信頼
現状のまま(as-is)である以上は売主が物件の欠陥を正直に伝え、価格を適正に設定することで、購入者からの信頼を得る必要があります。
自分で暮らしていなかった場合は限界がありますが、何よりも「知る限りの物件情報を正確に伝える」ことが肝要です。
物件について直接知識を持っていない場合は、その旨を署名で明記することがポイントになります。
結果として、この実例では市場に出した初週に64件の内覧があり、8件のオファーが寄せられました。
高価格のVAローンのオファーは修繕が必要な物件に適さないため、地元不動産エージェントは現金購入者との交渉に集中しました。
最期はリスト価格の95%にあたる金額で売却を完了。
市場の動向を理解し、柔軟に対応したことから売却に成功したのです。
。。。
「現状のまま」売買のプロセスはそれなりの難しさがありますが、反面、大きな学びを得ることができる機会でもあります。
購入者はそのリスクを理解し、慎重に準備を進めること。
売主やエージェントは透明性を重視し、適切な市場戦略を立てること。
この2つが履行されれば、物件がどのような状態であっても、双方が満足のいく取引を実現するはずです。
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