こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
12月初旬、アメリカの住宅ローン金利と家賃動向について発表がなされました。
アメリカ不動産市場のサイクルからいえば、今の真冬に突入した時期は比較的市場は大人しくなります。
バケーションシーズンに積極的に物件購入や引っ越しを実行する人々は少なく、年明けまでは静観の動きがでるものです。
それでも、今回発表されたデータからは興味深い傾向が読み取れます。
特に2025年に住宅購入を考えている方々は、このあたりの小さな動きを把握しておかれるとよいと思います。
住宅ローン金利の動き
まず、住宅ローン金利について見ていきましょう。
ここ最近、30年固定金利の住宅ローン金利が3週連続で低下しています。
金利は現在約6.6%まで下がっており、これは2か月ぶりの低水準となっています。
ここまでの金利低下の背景には、インフレ率が期待ほど上昇していないことが挙げられます。
特に家賃の上昇率が大幅に鈍化し、2021年4月以来最も低い水準に達したことがインフレ圧力を和らげる要因となっています。
この流れの金利低下は、一見すると住宅購入を考える人々にとって朗報に見えます。
ただしここで注意すべき点は、金利が低下しても全ての人がそれを享受できるわけではないということです。
例えばクレジットスコアが低い人や、初めて住宅を購入する人にとっては借入条件が厳しい場合もあります。
また金利が下がることで住宅市場に参入する買い手が増え、結果的に競争が激化する流れはほぼ避けられません。
結果として、購入を検討する際には、金利以外の要因にも目を向けることが大切なのです。
住宅ローン申請の動向
そしてこのような背景を受け、次に住宅ローン申請の動向を見てみましょう。
住宅ローン申請は先週全体で5.4%増加しました。
特に住宅ローンの借り換え申請はなんと27%も増え、前年同期比で42%高い水準となっています。
このような動きは既存のローン金利が高い人々が借り換えによって支出を抑えようとしている動きを示すものです。
コロナ以降はしばらく歴史的な低金利が続き、この時期に3~4%台の低金利でモーゲージを組んだ人々はラッキーでした。
その後は金利がみるみる上昇し、昨今の7%台に至るような金利になったのは記憶に新しいところです。
このあたりの金利でモーゲージを組まざるを得なかった人々が、ここ最近の低金利を受けて一気に流れ始めていることが分かります。
その一方で新規購入目的の住宅ローン申請は4%減少しましたが、それでも前年同期比では4%増加しています。
このデータから見えるのは、金利低下が一定の需要を刺激している一方で、全体の購買意欲には地域や経済状況によるばらつきがあるということです。

最新の消費者物価指数(CPI)
さらに家賃の動向にも注目する必要があります。
最新の消費者物価指数(CPI)によると、家賃の上昇率がようやく鈍化しています。
これまで、家賃の高騰がインフレの主要な原因の一つとされてきました。
けれども今回のデータを見ると、家賃の上昇ペースが2021年4月以来最低の水準に達したことが確認されました。
この現象は特に都市部の賃貸市場において顕著であり、テレワークの普及や人口の地方分散がその要因の一部と考えられます。
とはいえ、家賃の上昇が鈍化しているとはいえ全ての地域で同じ傾向が見られるわけではありません。
一部の地域では依然として需要が供給を上回っており、家賃が高止まりしているケースもあります。
例えば経済成長が著しい地域や、移住者が増加している地域では家賃の低下は期待しにくい状況です。
そこで賃貸市場で物件を探している場合には、地域ごとの市場動向をよく調査するようにしましょう。
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かくして、今月初めに発表されたデータからこれらの動向を踏まえると、不動産市場全体が複雑な転換期にあることがわかります。
住宅購入を検討している人にとって金利低下は確かに魅力的な要素ですが、それだけで即決するのは危険です。
購入を急ぐのではなく、地域ごとの価格動向や将来的な返済計画を慎重に検討することが大切。
また一方で、賃貸を選ぶ場合も交渉の余地や長期的な住居費の見通しを考慮する必要があります。
私自身の経験からも、不動産市場の動向を理解することがいかに重要かを痛感しています。
例えば過去に金利低下を受けて住宅を購入した際、地域ごとの価格差や税制上のメリットを考慮することで、より良い条件で取引を進めることができました。
また賃貸市場での家賃交渉においても、最新の市場データを活用することで有利な契約を結ぶことができた事例があります。
不動産市場は常に変化しており、一つの指標やデータだけで全体を判断するのは難しいものです。
そのため、自分自身の目標やライフスタイルに基づいて最適な選択をすることが求められます。
例えば、短期的な利益を重視するのか、それとも長期的な資産形成を目指すのかによって、取るべきアプローチは大きく異なるものです。
年末にあたり現在の市場をより観察し、特に2025年以降に物件購入を検討している方は市場の動きを踏まえ、年末年始に購入戦略を練ってみてはいかがでしょうか。
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