昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
新年の特別企画として、米国内で行われている投資機会全般についてお伝えしています。
今日は、債券(Bond)の基本特性について詳しくみていきましょう。
債券(Bond)と聞くと
「難しそう」
「投資経験がないからわからない」
という方がほとんどですが、基本を押さえれば理解しやすくなります。
特に債券は株式と並んで、世の法人・個人から借り入れをして、何かしらの事を成し遂げるのに必須の資金集めの手法です。
ここでは債券について、初心者の方にも分かりやすい視点で債券の基本的な仕組みから始めましょう。
債券(Bond)とは
債券(Bond)は、簡単に言うと「借用証書」です。
借り手(issuer)は貸し手(investor)から資金を借り、その条件を明記した文書が作成されます。
この文書を "indenture"(インデンチャー)と呼びます。
インデンチャーには以下の情報が記載されています。
- 借入金額
- 返済期限
- 利率(利息の割合)
- 担保の有無
- その他の契約条件
この仕組みによって投資家はお金を貸し、発行者はその資金を利用して事業を展開したり、他の目的に使用したりするのです。
とはいえ
「インデンチャーってなぜこんな名前?」と疑問に思うかもしれません。
"Indenture" という言葉は、中世ヨーロッパの契約方法から来ています。
昔は契約書を2つに切り分け、それぞれの境目をギザギザや波型にしました。
例えば一枚の紙をハサミで切り取ることを想像してください。
その切り取る方をわざとギザギザにしたり、波型にしたとします。
切り取った後は、別れた紙はお互いをくっつけるとピタリとハマるはずです。
この切り込み(indent)が一致することで、契約の真正性を証明したのです。
このユニークな方法から、今でも "indenture" という名前が契約書に使われています。
現在の契約書にギザギザはありませんが、この歴史が背景にあるのです。
債券(Bond)の基本特性
そこで、債券(Bond)にはいくつかの特徴があります。
それぞれ初心者にもわかりやすい言葉でいきましょう。
金利と価格の逆相関
債券の価格は市場金利に影響を受けます。
- 市場金利が上がると、既存の債券の価格は下がります。
- 市場金利が下がると、既存の債券の価格は上がります。
これは "interest rate risk"(金利リスク)と呼ばれる現象です。
ただし、利息の支払い額自体は固定されています。
そのため債券を保有している限り、決まった利息を受け取ることができます。
この
「決まった利息を受け取ることが出来る」
というのが債券の魅力といえます。
譲渡性(Negotiability)
そして債券は株式のように売買可能です。
通常は満期までの期間が
- 1年
- 5年
- 10年
- 30年
と決まっているのですが、満期日を待たずに市場で売却することができるのです。
ただし注意点として、売却価格は額面より高い場合もあれば、低い場合もあります。
ここには市場金利や信用リスクなど、さまざまな要因が影響します。
この点は世にある商品・サービスの価格が需要と供給のバランスで変化するのとまったく同じで、その債券に対する需要と供給で価格が変化するのです。
ただし、ここは後日の項に譲りますが、米国の場合は債券の額面そのものはほとんどが$1,000です。
満期日(Specified Maturity Date)
債券には償還される日が決まっています。
- 短期の "money market instruments" は1年以内の満期が一般的です。
- 一方、通常の債券は5年から30年の満期が多いです。
この償還日は多種多様なパターンがありますので、ここも詳細は後日に譲ります。
利息支払い(Payment of Interest)
債券の利息は "coupon rate"(クーポン利率)に基づき、通常半年ごとに支払われます。
発行者にとって支払い義務があり、滞納すると破産や差し押さえのリスクが生じるものです。
また発行者視点では、利息は課税前の経費として控除可能である点が特徴です。
これは、配当金(税引後の利益から支払われる)と異なるポイントです。
未収利息(Accrued Interest)
債券を途中で売却すると、買い手は売り手に未収利息を支払います。
たとえば額面$1,000の債券があり、年利5%(利息$50)の条件で発行されているとします。
この場合、利息は半年ごとに$25ずつ支払われます。
債券の前回の利息支払い日が1月1日で、次回支払い日が7月1日だとします。
もしこの債券を4月1日に売却すると、1月1日から4月1日までの3か月分の利息($25の半分、つまり$12.50)が未収利息となってしまいます。
そこでこの場合、買い手は売り手に$12.50を支払い、7月1日に全額の$25を受け取るわけです。
この仕組みは、公平性を保つために設けられています。
売り手が保有していた期間の利息を正当に受け取る一方で、買い手は次回の支払い時に全額を受け取ることで損をしないのです。
。。。
かくして、債券とは借り手と貸し手の間で結ばれる契約書であり、投資や資金調達の重要な手段となります。
債券価格と金利の関係や未収利息の仕組みなど、一見複雑に見えるポイントも、基本を押さえると理解しやすくなるのではないでしょうか。
債券のイロハについて、さらに深堀してみましょう。
明日に続けます。
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