昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨今の投資コンサルティング需要を受け、特別企画としてアメリカ投資全般についてお伝えしています。
昨日に続き、今日は「投資会社や空売り」に関する初心者向けの基本情報をみていきましょう。
投資会社と株式の仕組みとは
まず「投資会社」についてですが、米国でいう 投資会社とは、個人の投資家が資金をプールして専門家が管理・運用する仕組みです。
例えば、ミューチュアルファンドやクローズドエンドファンドといった商品があります。
これらを通じて、分散投資やプロの運用を享受できるわけです。
投資会社が発行する株式を購入することで、投資家は間接的に様々な資産に投資することができます。
けれどもこの仕組みには注意点も。
株主の利益を守るために、投資会社が結ぶ契約や活動には厳格な規制があるのです。
この辺りは詳しく後述していきます。
Outstanding Shares(発行済株式数)とは
投資会社や企業の話でよく出てくるのが「発行済株式数(Outstanding Shares)」という言葉です。
難しく聞こえるかもしれませんが、これはとても重要な概念です。
発行済株式数とは企業が発行した株式のうち、市場で実際に流通していて、投資家が保有している株式の総数のことです。
ここで「Issued Shares(発行株式総数)」や「Treasury Shares(自己株式)」という言葉が気になるかもしれませんが、簡単に言うと、発行株式総数は企業が発行したすべての株式、自己株式はその中で企業自身が買い戻して保有している株式を指します。
発行済株式数は、
発行株式総数 - 自己株式 = 発行済株式数
です。
例えば、企業Aが1,000万株を発行していて、そのうち100万株を自己株式として保有している場合、発行済株式数は900万株となるわけです。
この発行済株式数が配当金の計算や株式の評価などに使われることになります。
投資顧問や主要引受人との契約の規則
そして投資会社が結ぶ「投資顧問(Investment Adviser)」や「主要引受人(Principal Underwriter)」との契約についてですが、投資会社は運用や販売を外部の専門機関に委託することが多いです。
この時に株主の利益を守るために以下のような規則があります。
- 契約の承認 契約は、株主の過半数の承認を得る必要があり。 また、初回契約後2年を過ぎた場合、年次で承認される必要。
- 契約内容の明確化 報酬の詳細や契約条件が明確に記載されている必要。
- 契約の終了条件 取締役会または株主が60日以内の通知をもって契約を終了できる仕組みが求められる。
- 非利害関係者の承認 契約の締結・更新には、取締役の40%以上が「利害関係のない人物」である必要あり。
このように厳格な規制があるのは、透明性を確保して不正を防ぐためなのです。
空売りとは
そしてよく耳にする
「空売り(Short Selling)」
について触れてみましょう。
空売りとは、株価が下がることを予想して利益を狙う投資手法で、仕組みはこうです。
- 投資家は証券会社を通じて株式を借ります。
- その株を市場で売却します。
- 株価が下がったタイミングで、安く買い戻します。
- 最初の売却価格と買い戻し価格の差額が利益になります。
例えば、100ドルの株式を借りて売却し、70ドルで買い戻した場合、30ドルの利益が得られるわけです。
とはいえ、空売りにはリスクもあります。
例えば株価が上昇してしまった場合、損失は理論上無限大になる可能性があります。
そして空売りのために株を借りるには、証券会社が提供する「貸株サービス(Stock Lending)」を利用します。
具体的には、次のような流れです:
- 証券会社は、他の投資家が保有する株式を貸し出す準備。
- 空売りを希望する投資家は、貸し出し可能な株式を証券会社から借りる。
- 貸株料(レンタル料)を支払い、株式を売却。
「貸し出し可能な株がなければどうなるの?」
と思ってしまいますが、その場合、空売りはできません。
証券会社は市場で株式を調達するか、既存の株主に貸し出しを募ることもあります。
空売りが許される理由
空売りは「株価の下落を期待するのは倫理的に問題だ」と思われがちです。
けれども以下の理由から市場では許容されていることになります。
- 価格の適正化 株価が過大評価されている場合、空売りが適正価格への調整を促す。
- 流動性の提供 空売りによって市場の取引量が増え、流動性が向上。
- 不正行為の発見 空売り投資家は企業の不正を指摘することが多く、市場の健全性を保つ役割も果たす。
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かくして、
- 発行済株式数は、企業の評価や配当の計算に欠かせない基本的な指標。
- 投資会社と投資顧問・主要引受人の契約には、透明性と株主保護のための規制が存在。
- 空売りはリスクの高い投資手法ですが、市場の効率性や透明性に貢献。
このあたりを押さえておきましょう。
明日に続けます。
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