こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
特別企画として、アメリカ投資全般についてお伝えしています。
今日は「投資会社」と見なされる形態の一つであるミューチュアルファンドの購入時に気をつけるべき点を初心者の方向けにみていきましょう。
ファンドの種類や手数料、そしてどのようにコストを抑えられるか、知識を身に着けておきたいところ。
特に“ブレークポイント”や“累積投資権”など、専門用語が出てくると戸惑うかもしれませんが、このあたりも概要を押さえておきたいと思います。
ミューチュアルファンドの基本的な手数料体系
ミューチュアルファンドを購入する際、いくつかの手数料が発生します。
その代表的なものが“ロード(Load)”です。
ロードとは販売手数料のことで、大きく分けて以下の3種類があります。
- フロントエンドロード(Front-End Load)
- 購入時に発生する手数料です。たとえば、5%のフロントエンドロードが課される場合、$10,000を投資すると$500が手数料として引かれ、$9,500が実際に運用に回されることになります。
- バックエンドロード(Back-End Load)
- 解約時に発生する手数料です。これは“CDSC(Contingent Deferred Sales Charge)”とも呼ばれ、時間の経過とともに手数料率が減少するのが特徴です。たとえば、1年目は8%、2年目は7%、6–8年後には0%になることが多いです。
- 12b-1費用(Asset-Based Fees)
- これは購入時や解約時の手数料ではなく、ファンドの運用資産から毎年差し引かれるマーケティング費用です。最大0.75%まで課されることが認められていますが、もしこの費用が0.25%を超える場合、ファンドは“ノーロード”(販売手数料なし)と呼べなくなります。
クラスによる違いと投資の選択肢
ミューチュアルファンドは投資家が支払う手数料や費用を選べるように、いくつかのクラス(Class)に分かれています。
たとえば以下のようなものです。
- クラスA(Front-End Load)
- 購入時に手数料が課されますが、運用経費率が低めです。
- 大口投資の場合、ブレークポイント割引が適用されるため、手数料を抑えやすいのが特徴です。
- クラスB(Back-End Load)
- 解約時に手数料がかかるタイプです。長期保有すればクラスAに自動転換され、低い経費率が適用されるようになります。とはいえ、購入時の経費率がやや高い点には注意が必要です。
- クラスC(Level Load)
- 購入時や解約時の大きな手数料はありませんが、12b-1費用を含む高めの運用経費率が継続的にかかります。短期投資向きです。
“10年以上の長期投資を考えている場合、クラスBは最適ではないか?”
と思うところですが、確かにバックエンドロードがなくなり、経費率が低いクラスAに転換される点は魅力です。
けれども購入時の経費率が高いことを考えると、大口投資でブレークポイント割引が受けられるクラスAのほうが有利な場合が多いのです。
ブレークポイント(Breakpoint)とは?
そしてミューチュアルファンドでよく聞くブレークポイントとは、投資金額が特定の閾値を超えた場合に適用される販売手数料の割引制度のことです。
例えば、以下のような手数料率が設定されているとします。
購入額 | 販売手数料 |
---|---|
$0–$24,999 | 6.5% |
$25,000–$49,999 | 5.5% |
$50,000–$99,999 | 5.0% |
$100,000以上 | 3.0% |
$24,000を購入する場合、販売手数料は6.5%ですが、あと$1,000追加投資することで手数料率が5.5%に下がります。
ちなみにミューチュアルファンドを購入するとき、手数料が安くなるのにそのことに触れず手数料率の高い状態で購入を進めることを“ブレークポイントセール”と呼び、規制違反と見なされる場合があります。
購入する側としては、しっかりと手数料率の違いを確認するようにしましょう。
累積投資権(Rights of Accumulation)
そして“累積投資権”という精度があります。
これは過去の購入額や現在の基準価格(NAV)を合算し、その累計額がブレークポイントを超えた場合に販売手数料の割引を受けられる制度です。
- 累積額には、“現在のNAV”または“購入額の累計”のどちらか大きい方が適用される。
- 時間制限がなく、いつでも適用可能。
- 小額の追加投資でも累積額が条件を満たしていれば、割引が適用される。
例:累積投資権の適用ケース
過去に$95,000を投資し、現在のNAVが$90,000に減少している場合、累積額は$95,000となります。
この場合、累積額が$100,000に届いていないため、販売手数料は5.0%が適用されます。
その一方で、過去に$90,000を投資し、そのNAVが成長して$110,000に増加した場合、累積額としてNAVが採用され、3.0%の割引が適用されます。
。。。
ミューチュアルファンドの購入では、販売手数料や運用経費率が投資リターンに大きく影響します。
クラスの選択やブレークポイント、累積投資権を賢く活用することで、コストを抑えながら効率的に資産を増やすことができます。
特に長期投資を考えている方は、手数料構造と投資期間のバランスをしっかりと検討しましょう。
明日に続けます。
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