こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産セクターを離れ、アメリカ投資全般についてお伝えしています。
今日は、Unit Investment Trust (UIT) についてです。
UITは投資の中でも少し特殊な形態で、株式やETF(上場投資信託)と比較して耳慣れないかもしれません。
けれどもそのシンプルな構造ゆえに、初心者でも理解しやすい投資商品なのです。
UITとは何なのか、どのように運営されているのか、具体的な例や疑問を交えながらみていきましょう。
UIT(ユニット・インベストメント・トラスト)とは
UIT(ユニット・インベストメント・トラスト)は、投資会社法(Investment Company Act of 1940) に基づき設立される投資会社の一種です。
特徴は以下の通り。
- 非管理型の投資信託:ポートフォリオは一度設定されたら固定され、積極的な売買や運用は行われない。
- 取締役会や投資顧問が存在しない:信託契約(Trust Indenture)に基づき運営されるため、通常の株式会社のような役員や投資顧問がいない。
- 償還可能な証券を発行:UITは投資家に「ユニット(units)」または「受益権(shares of beneficial interest)」を発行する。これらのユニットは信託自体が買い戻す仕組み。
つまり、UITは固定されたポートフォリオを持つシンプルな投資商品なのです。
具体的な例で理解する
UITの運用をイメージしやすくするために、いくつかの例を挙げます。
1. 地方債信託(Municipal Bond Trust)
例えば、地方債(municipal bonds)のみで構成されたUITを考えてみましょう。
- 信託設定時に、地方債を一定数購入。
- 投資家は安定した利息収入を得ることが目的。
- 信託は最後の債券が満期になると清算され、資金が投資家に分配される。
2. ダウ工業株10種UIT(Dow 10 UIT)
「Dogs of the Dow」という投資戦略に基づくUITもあります。
- 配当利回りが高いダウ平均株30種の上位10銘柄に投資。
- ポートフォリオは1年間固定され、期間終了時に清算される。
- 投資家は配当収入と元本分配を受け取る。
3. テクノロジー特化型UIT
成長株や特定のテーマに特化したUITもあります。
- 例:Apple、Microsoft、NVIDIAなどのテクノロジー株に投資。
- テーマに基づいたポートフォリオで、設定期間終了時に清算される。
これらの例から、UITは「明確なテーマや目的を持った投資商品」であることが分かります。
UITの運営とTrusteeの役割
UITの運営は誰が行っているのか、気になるところです。
UITには取締役会(Board of Directors)がなく、運営は受託者(Trustee) によって行われます。 受託者の主な役割は以下の通りです。
- 投資家がユニットを償還する際の対応
- ポートフォリオ内の資産管理
- 配当や利息の分配手続き
- 信託終了時の清算作業
「Trusteeには報酬は支払われないのか?」と思うところですが、実際にはTrusteeは運営管理に対する対価として報酬を受け取ります。
Trusteeの報酬について
Trusteeの報酬は、通常以下のような形で支払われます。
- 固定報酬:年間一定額を受け取る場合。
- 資産規模に応じた報酬:信託資産総額(AUM)の0.1%〜0.5%程度が一般的。
例えば信託資産が1億ドルで年率0.3%の報酬が設定されている場合、Trusteeは年間30万ドルを受け取ります。
ただし、ここから運営コスト(人件費、システム費用など)を差し引いた金額が実際の利益となります。
利益率は報酬全体の20〜40%程度とされ、運営効率や信託規模によって異なります。
UITのメリットと疑問点
UITには以下のようなメリットがあります。
- シンプルな構造で初心者でも分かりやすい。
- 明確な投資テーマに基づいており、選択肢が具体的。
- ポートフォリオが固定されているため、管理コストが低い。
とはいえ、「UIT shares (units) must be redeemed by the trust(UITの単位は信託によって償還されなければならない)」という仕組みは少し分かりにくいかもしれません。
これは、UITの単位が自由市場で売買されるのではなく、UITそのものが投資家から買い戻す仕組みであることを意味しています。
価格はポートフォリオの純資産価値(NAV)に基づいて計算されるため、市場価格の変動に影響を受けないのです。
。。。
かくして、UITは非管理型のシンプルな投資商品として特定の目的やテーマを持つ投資家に適しています。
ポートフォリオは固定され、運営は受託者(Trustee)に委ねられるのです。
投資初心者でも理解しやすい一方で、Trusteeの役割や報酬、償還の仕組みなど知っておくべきポイントがいくつかありますが、本項の内容は最低でも押さえておきましょう。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。