こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
特別企画として、アメリカ投資全般についてお伝えしています。
昨日に引き続き、このあたりからは初心者にはお薦めできないタイプの投資について触れています。
あくまでも
「そんな投資があるんだな」
程度に留めて頂ければ幸いですが、このあたりも俯瞰していくと
「やはりアメリカ不動産は資産カテゴリーとしては、最も安定している」
そんな風にお分かり頂けるはずです。
そこで今回は投資初心者の方でも分かりやすく理解できるよう、オルタナティブ投資に関連する「プール型投資ビークル」について、概要をみていきましょう。
オルタナティブ投資とは株式や債券といった伝統的な資産以外の投資方法のことです。
その中でも今回取り上げるのは「上場投資証券(ETN)」や「レバレッジETF」などのプール型投資ビークルと呼ばれる類になります。
名前だけ聞くと少し難しそうに思えるかもしれませんが、その概要を詳しく見ていきましょう。
1. 上場投資証券 (ETN)
ETN(Exchange-Traded Notes)は、簡単に言うと「市場指数やベンチマークに連動する債券型の商品」です。ETF(上場投資信託)に似ていますが、構造は異なります。
- 構造の違い
- ETFは1940年投資会社法に基づいて登録される「投資会社」ですが、ETNは1933年証券法に基づく「債務証券」です。
- ETFは実際の資産(例:株や債券)を保有しますが、ETNはそうではなく、指数やベンチマークに連動するリターンを提供するだけです。
- 特徴
- 定期的な利息は支払われません。そのため、投資家は市場価格の変動から利益を得る形になります。
- 発行者(例:大手金融機関)がETNを発行・償還することで市場価格を調整します。これにより、価格が適正な範囲に収まるようになっています。
- リスク
- 信用リスク: ETNは発行体の信用力に依存するため、発行体が破綻すると元本が失われる可能性があります。リーマンショック時に、リーマン・ブラザーズ発行のETNが元本を失った例が有名です。
- 利益相反リスク: 発行者が市場で取引を行い、自らに有利な条件を作る可能性があります。
- 流動性リスク: 二次市場での売買が限られる場合、希望のタイミングで売却できない可能性があります。
例:
- iPath S&P 500 VIX Short-Term Futures ETN (VXX): S&P 500のボラティリティ指数(VIX)に連動。
- VelocityShares Daily 2× VIX Short-Term ETN (TVIX): VIXに2倍のレバレッジで連動。
2. レバレッジETF
レバレッジETFは、ベンチマーク指数のリターンを2倍や3倍に増幅することを目指したファンドです。
- 特徴
- 例えば、S&P 500が1%上昇した場合、2×レバレッジETFは2%の上昇を目指します。
- 一方、指数が下落すると損失も2倍になります。
- デリバティブ(先物、スワップなど)を利用して目標のリターンを実現します。
- リスク
- ボラティリティの増幅: レバレッジによって損失も大きくなるため、短期トレード向けです。
- 長期パフォーマンスの乖離: FINRAによれば、レバレッジETFは日次リターンを目指して設計されているため、長期間保有すると指数のリターンとの乖離が生じることがあります。
例:
- 投資額: $10,000
- S&P 500が1日で5%上昇した場合:
- 2×レバレッジETFの価値: $10,000 × 1.10 = $11,000
- 逆に、指数が5%下落した場合、価値は$9,000になります。
3. インバースファンド (Short/Bear Funds)
インバースファンドは、ベンチマーク指数の逆方向のリターンを目指す商品です。市場が下落した際に利益を得たい場合に利用されます。
- 仕組み
- 例えば、S&P 500が2%下落すれば、インバースファンドは2%上昇します。
- レバレッジ付きの場合、指数が2%下落すると3×インバースファンドでは6%のリターンを得ることが可能です。
- 適用場面
- 短期的なヘッジや市場下落時の利益を目的とした投資。
- リスク
- 長期的に保有すると、指数の逆方向リターンと一致しなくなる可能性があります。
- デリバティブを利用するため、ボラティリティが高くなります。
例:
- 投資額: $10,000
- S&P 500が3%下落:
- 通常のインバースファンド: $10,000 × 1.03 = $10,300
- 3×レバレッジの場合: $10,000 × 1.09 = $10,900
4. ストラクチャードノート(元本保護型)
元本保護型のストラクチャードノートは、債券とデリバティブを組み合わせ、満期時に元本の全部または一部を保護する金融商品です。
- 構造
- ゼロクーポン債で元本を保護。
- デリバティブで追加リターンを狙う。
- リスク
- 発行体の信用リスクに依存。
- リーマンショック時には、リーマン・ブラザーズ発行の商品が元本を失った事例があります。
例:
- 投資額: $10,000
- $9,000をゼロクーポン債に投資(満期に$10,000)。
- $1,000をデリバティブに投資。
- 株価指数が20%上昇した場合、追加リターンは$1,000 × 2 = $2,000。
- 満期時の合計: $12,000。
。。。
これらの商品は、それぞれ独自の特性とリスクを持っています。
単純な株取引と比べて仕組みは結構複雑ですので初心者にはお薦めできませんが、少なくとも
「そんな投資商品があるんだ」
程度、その概要を掴んでおきましょう。
明日に続けます。
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