こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
特別企画として、アメリカ不動産以外の投資全般についてお伝えしています。
極力専門用語をかみ砕いているつもりですが、ある程度、専門用語をそのままご紹介せざるを得ない部分はご容赦ください。
それぞれの商品のさらに深い部分は各専門書・情報にお譲りしますが、ここでは投資の世界全体をざっくりと俯瞰頂くことも目的としています。
そこで本項では投資そのものを離れ、けれども経済全体を俯瞰するために必要不可欠な知識、ビジネスサイクルについて触れておきたいと思います。
経済の基本とも言える「ビジネスサイクル」と「GDPの計算方法」について理解を深めることで、経済の動きを読み取る力がつき、投資や日々の判断に役立てることができるはずです。
ビジネスサイクル(景気循環)から、いきましょう。
ビジネスサイクルとは
ビジネスサイクルとは、経済活動が 拡張(Expansion)、ピーク(Peak)、収縮(Contraction)、谷(Trough) という4つのステージを繰り返す現象のことです。
これは失業率やGDP(国内総生産)の変動など、経済指標を通じて観察されます。
- 拡張期: ビジネス活動が増加する段階です。生産や消費が活発になり、GDPが増加します。
- ピーク: 経済が絶頂に達する時期で、成長が鈍化します。
- 収縮期: 経済活動が減少する段階で、不況や恐慌が起こり得ます。
- 谷: 経済が底を打ち、再び拡張へ向かう転換点です。
例えば、アメリカではGDPが2四半期連続で減少すると リセッション(景気後退) と呼ばれます。
その一方でGDPが6四半期以上減少する場合は デプレッション(恐慌) と定義されるのです。
各ステージの特徴
それぞれのステージをもう少し詳しく見てみましょう。
拡張期(Expansion)
- GDPの増加
- 消費者需要の増加
- 失業率の低下
- 株価や不動産価格の上昇
- インフレ率の上昇
ピーク(Peak)
- GDP成長率の減速
- 雇用の増加が鈍化
- 消費支出と企業投資の減速
- インフレ率が高止まり
収縮期(Contraction)
- 失業率の上昇
- 消費や投資の減少
- 株価の下落
- 在庫の増加
- インフレ率の低下
谷(Trough)
- GDPの成長率が負から正に転じる
- 失業率が高いが、回復の兆しが見える
- 耐久消費財や住宅支出の増加傾向
上の定義もって、例えば
「物価は下がっているのに消費需要が増加している場合、どの段階にあるのか」
という場合、これは、経済が谷から拡張期へ移行していることを示していることになります。
GDPとは
そこで上に出てきたGDP(Gross Domestic Product)についても簡単にいきましょう。
GDPはある一定期間内に国内で生産された全ての最終財とサービスの市場価値を表します。
基本的なGDP成長率は

で計算されていますが、そのGDPそのものの計算には3つの方法があります。
1. 支出アプローチ
経済全体で消費された額を合計する方法です。

- C(消費): 家計の支出(食品や家電など)
- I(投資): 企業や個人による設備投資や在庫の増加
- G(政府支出): 公共事業や教育など
- X(輸出): 海外への輸出
- M(輸入): 海外からの輸入(輸入額は控除)
2. 生産アプローチ

経済内で生産された財やサービスの価値を直接合計する方法です。
- 総生産額: 工場やサービス業などで生み出された最終製品の価値
- 中間財のコスト: 原材料や部品などのコストを差し引くことで、二重計算を防ぎます。
3. 所得アプローチ
労働者や資本への支払いを合計する方法です。

このようにGDPは、 消費・生産・所得 のどの視点から見ても算出できるのです。
GDP成長率の計算
GDPの成長率は前でのとおり

ですが、例えば
- 前期のGDP: $20兆
- 当期のGDP: $21兆
であれば

で、「GDP成長率は5%」となるわけです。
経済と産業の関係
ちなみにビジネスサイクルは、特定の産業の成長や衰退に影響を与えます。
循環型産業
耐久財や原材料を生産する業種(自動車、鉄鋼など)は、景気拡張期に好調になります。 一方で、不況期には需要が大幅に減少する傾向があります。
成長型産業
技術革新や新しい需要によって、景気に関係なく成長する業種です。 例: ソーシャルメディアやバイオエンジニアリング
防御型産業
食品や医薬品など、景気変動の影響を受けにくい業種です。 不況期にはリスクが少なく、安定した収益を見込めます。
。。。
このあたりで止めておきたいと思いますが、ビジネスサイクルとGDPは経済の規模や成長を推し量る上で大切な概念です。
投資のイロハのみならず、資本主義に生きるうえで知っておきたい知識として押さえておきましょう。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。