こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
特別企画として、アメリカ投資全般についてお伝えしています。
今日は、初心者の方にもわかりやすく「利回り曲線(Yield Curve)」という用語について見ていきましょう。
不動産や金融の話題で「 利回り曲線(Yield Curve) 」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
この曲線は、金利や経済の状態を予測する上で非常に重要な指標とされています。
利回り曲線とは何なのか、どうやって作られるのか、そしてその形状が何を意味するのか、具体例を交えて一緒に見ていきましょう。
利回り曲線
利回り曲線とは、異なる満期(期間)の債券利回りをグラフで可視化したものです。
具体的には、横軸(X軸)に満期の長さを、縦軸(Y軸)に利回りをプロットし、線でつなぐことで表現されます。
例えば、米国財務省が発行する債券を例にすると、
- 91日(3か月)の短期国債(Tビル)
- 10年の中期国債(Tノート)
- 30年の長期国債(Tボンド)
これらの利回りデータを基に利回り曲線を描きます。
利回り曲線の作り方
利回り曲線を描く際のポイントは、単一の発行体(例: 米国財務省)から発行された異なる満期の債券を使用することです。
これは、異なる発行体だと信用リスクなどの要因が異なり、純粋な金利比較ができなくなるためです。
- 横軸に「満期」、縦軸に「利回り」を取る。
- 各満期の利回りデータを点としてグラフにプロット(図解)する。
- 点を線でつなぐと、利回り曲線が完成。
このような流れでグラフを描くのです。
利回り曲線の種類
そして、利回り曲線には主に3つの種類があります。
- 正の利回り曲線(Normal Yield Curve)
- 長期金利が短期金利より高い曲線です。
- 経済が正常に成長しているときによく見られ、投資家が長期のリスクに対する補償を要求するため、長期金利が高くなります。
- 平坦な利回り曲線(Flat Yield Curve)
- 長期金利と短期金利がほぼ同じ曲線です。
- 経済の停滞期や転換期を示唆します。
- 逆イールドカーブ(Inverted Yield Curve)
- 短期金利が長期金利を上回る曲線です。
- 景気後退の予兆として注目される形状で、短期的な金利が急上昇すると発生します。
この三種類のカーブを見ることで、現状と将来が予想できるわけです。
利回り曲線が示す意味
このような利回り曲線は、経済の状態や将来の金利動向を予測する上で非常に役立ちます。
- 正の利回り曲線では、投資家は長期間資金を貸し出すリスク(デフォルトリスクやインフレリスクなど)に対する補償として、高い利回りを要求。
- 逆イールドカーブでは、短期的に資金需要が高まり、短期金利が急上昇することで発生します。これは景気後退のサインとされ、歴史的にリセッション(不況)の前兆と見なされることが多い。
投資家を含む経済の今と将来を深く知る必要のある人々は、このあたりをヒントに判断していることになります。
なぜ長期債券の利回りが高いのか?
また 利回り曲線(Yield Curve) を見ていると、
「なぜ正の利回り曲線では、長期債券は金利が高くなる」
ことに気づきます。
正の利回りで長期債券金利が高くなるのは、長期債券には以下のリスクが含まれているからです。
- デフォルトリスク
- 長期間の返済期間中に、借り手が返済不能に陥るリスク。
- インフレリスク
- 長期的にインフレが進むと、固定金利の債券で得られる利息の購買力が低下します。
- 流動性リスク
- 長期債券は途中で売却しづらい場合があり、その不便さに対する補償として高い金利が必要です。
ここで具体例を見てみましょう。
例: 債券の利回り計算
額面$1,000の債券があり、クーポン利息が年5%($50)だったとします。
- 債券価格が$1,000のとき、利回りは5%(50 / 1,000)。
- けれども債券の価格が$1,200に上昇すると、利回りは4.17%(50 / 1,200)に低下します。
このように、債券価格が上がると利回りは下がるという反比例の関係があります。
例: 逆イールドカーブ
反対に短期金利が5%、長期金利が3%の場合、逆イールドカーブが形成される場合。
この形状は投資家が「将来の金利が低下する」と予想して長期債券を買い集めた結果、長期金利が下がったことを示します。
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かくして、利回り曲線は、経済や市場の状態を知るための重要なツールです。
- 正の利回り曲線は、正常な経済成長と金利上昇を示す。
- 平坦な曲線は、不確実な経済状況の兆候。
- 逆イールドカーブは、景気後退の前兆とされる。
利回り曲線(Yield Curve) の読み取り方としては、このあたりの基本を押さえておきましょう。
明日に続けます。
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