こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
特別企画として、アメリカ投資全般についてお伝えしています。
極力初心者目線で投資全般についてお伝えしてきたこのシリーズ。
いよいよ本日と明日で最後です。
ここ数日は投資商品そのものよりも、押さえておきたい投資用語について触れています。
特に投資用語の中でも、経済の動きに関するものは最低限、理解しておきたいところです。
経済の基本原則を理解することは、不動産市場や投資を考える上でとても大切になります。
そこで本項では経済政策や金融政策の違い、関連する金利の仕組み、そして国際的な経済活動がどのようにアメリカの市場に影響を与えるかをみていきましょう。
経済政策には大きく分けて「財政政策(Fiscal Policy)」と「金融政策(Monetary Policy)」の2つがあります。
この2つをそれぞれ押さえてみます。
財政政策(Fiscal Policy)
財政政策とは、政府が支出と課税を通じて経済活動を調整する仕組みのことです。
例えば景気が悪化したとき、政府がインフラ投資を増やしたり減税を実施することがあります。
このような政策は主に大統領と議会が主導し、予算編成のプロセスを経て決定されます。
そして政府の予算が均衡している場合、税収が支出と等しい状態を指します。
その一方で税収が支出を上回ると予算黒字、逆に支出が税収を上回ると予算赤字と呼ばれるのです。
金融政策(Monetary Policy)
そして金融政策は、中央銀行である「連邦準備制度(Federal Reserve Board, FRB)」が貨幣供給と信用の量を調整することで経済活動を管理する政策です。
FRBは金融政策を通じて以下の2つの方法を採用します。
- 拡張的政策(緩和的政策): 貨幣供給を増やして金利を下げ、経済を刺激する。
- 収縮的政策(引き締め政策): 貨幣供給を減らして金利を上げ、インフレを抑制する。
ここで、
「FRBは財政政策には関与しない」
ことを覚えておきましょう。
政治とお金は別々であり、政治家はあくまでも支出と課税をもっての経済調整役です。
財政政策と金融政策の違いを明確に理解することがキモになります。
FRBが利用する3つの主なツール
そこで、FRBが金融政策を実施する際には、以下の3つの手段を用います。
- 準備預金率の変更: 銀行がFRBに預けなければならない資金の割合を調整することで、貸し出し可能な資金量を増減させます。
- 例: 準備金率を引き上げると、銀行が貸し出せる資金が減り、金利が上昇します。
- 例: 準備金率を引き上げると、銀行が貸し出せる資金が減り、金利が上昇します。
- 割引率(Discount Rate)の変更: FRBが銀行に短期貸付を行う際の金利です。
- 割引率が上がると、銀行はFRBからの借り入れを控えるため、市場金利も上昇します。
- 割引率が上がると、銀行はFRBからの借り入れを控えるため、市場金利も上昇します。
- 公開市場操作(Open Market Operations): FRBが米国債を売買して、銀行の準備金を増減させます。
- 米国債を購入すると準備金が増加し、金利が下がります。
- 逆に、米国債を売却すると準備金が減少し、金利が上昇します。
関連する金利の違い
また金利にはいくつか種類がありますが、それぞれの役割を押さえておきましょう。
- 割引率(Discount Rate): FRBが商業銀行に貸し出す際の金利で、FRBが直接管理しています。
- 連邦基金金利(Federal Funds Rate): 銀行間で一晩の資金を貸し借りする際の市場金利。FRBが目標金利を設定しますが、実際の金利は銀行間の需給で決まります。
- プライムレート(Prime Rate): 商業銀行が信用度の高い企業に貸し出す際の基準金利で、通常は連邦基金金利に影響を受けます。
例えば、「連邦基金金利はFRBが直接設定しない」という点が混乱するかもしれませんが、これは市場の需給によって決定される金利だからです。
けれどもFRBは公開市場操作を通じて間接的に調整しています。
国際収支と為替の仕組み
最後に、国際収支(Balance of Payments, BOP)についても触れておきたいと思います。
アメリカの輸出入や海外投資がどのように通貨や経済に影響を与えるかを知ることは、投資家としても大切です。
お金の流れとしてのポイントは
- 輸出(Export): アメリカの商品やサービスを海外に売ることで、アメリカにお金が流入(Credit)。
- 例えば、日本がアメリカからトラクターを購入すれば、ドルがアメリカに戻ります。
- 例えば、日本がアメリカからトラクターを購入すれば、ドルがアメリカに戻ります。
- 輸入(Import): 海外の商品をアメリカが購入することで、お金が海外に流出(Debit)。
- 例えば、アメリカがフランスのワインを購入すれば、ドルがフランスに送金されます。
です。
ドル安・ドル高の影響
そして輸出が増えると通常、ドルへの需要が高まりドル高になるのですが、場合によってはドル安につながることもあります。
例えばアメリカの輸出業者が受け取ったドルを海外通貨に両替すると、ドルが売られドル安になる場合があるのです。
また、外国からの投資やFRBの金融政策もドルの価値に影響を与えます。
私たちとしてはこのあたりのドル高やドル安の仕組みを理解し、投資判断を円滑にできるように心がけると吉と出ます。
。。。
かくして、ここでは経済政策、金利の仕組み、国際収支の関係についてお話ししました。
- 財政政策と金融政策の違い: 財政政策は政府、金融政策はFRBが主導。
- 金利の種類: 割引率、連邦基金金利、プライムレートの違いを理解。
- 国際収支と通貨: 輸出と輸入がドル安・ドル高に与える影響。
こうした知識は経済の動きを理解し、不動産や投資の判断をする際に大いに役立つものです。
明日に続けます
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。