こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日までアメリカでの投資全般についてお伝えしてきましたが、今日から、アメリカ不動産関連に戻していきます。
再開の今回は南カリフォルニアの再開発案件です。
今回ご紹介するのはナマモノ情報で、カリフォルニア州イングルウッドにある
「Harmony at Centinela Apartments」
という物件の再開発計画です。
この案件の内容を簡単に説明すると、
1.現状の2棟のデュプレックスと1棟の一戸建て住宅を買い取り
2.更地にして
3.70ユニットの住宅と商業スペースを備えた6階建ての建物を新築する
というものなのです。
このような再開発案件、果たしてどれだけ現実的なのか、また収益性はどうなのか気になるところ。
本項ではこの計画の背景やポイントを押さえつつ、検証してみましょう。
案件の概要
まず、この案件の主な特徴は以下の通りです。
- 場所: カリフォルニア州イングルウッド(335-339 Centinela Ave & 434 Warren Ln)
- 開発内容:
- 地下駐車場1階、商業スペース1階、住宅5階の計6階建て。
- 70ユニットの住宅(スタジオ、1ベッドルーム、2ベッドルーム)と商業スペースを計画。
- 背景:
- 現在の建物は築1940年代のものが多く、用途転換と収益性向上のための再開発が提案されています。
- 近隣にはSoFiスタジアムやIntuit Domeといった大規模なエンターテインメント施設があり、地域需要が高まっています。
- ゾーニング: TOD(Transit-Oriented Development)エリア内で高密度開発が可能。
このように、立地条件や地域の成長ポテンシャルからも、興味深い案件と言えるわけです。
再開発計画がうまくいくのか

この計画がどのような結果をもたらすのか、検証してみましょう。
まず、収益性について注目します。
- 初期投資額: 土地購入価格が$3,435,000、総開発費が$29,566,000とされています。
- 年間収益予測: 総収入は年間$2,194,350、空室率を考慮した実質の収入が$2,084,633。
- 運営費: 年間運営費は$635,925。
- ネット運営収益(NOI): $1,448,707。
キャップレートが4.90%で、プロジェクト完成後の物件価値は約$29,566,000との見積もり。
つまり、投資額と収益のバランスから見ても、適切な収益性が期待できるわけです。
一方で、リスク要因も見逃せません。
- 建設コストの変動: 現在のインフレや建材費の高騰が、予算オーバーの可能性を高めます。
- 空室率: 予定通りに入居者が確保できない場合、収益性が下がる可能性。
- 地域の需要動向: イングルウッド地域の再開発が進む中で、競争が激化することも予想されます。
とはいえ、これらのリスクをしっかりと管理すれば、長期的な収益性を期待できる案件と言えそうです。
再開発案件の注意点
もしこの案件を買い取る場合、以下のような点に注意が必要です。
- 詳細な市場調査を行うこと: 地域の賃貸需要や競合物件の分析が重要です。周辺の賃料相場や入居者層を深掘りすることで、収益予測を現実的なものにする必要があります。
- 建設プロセスの管理: 建設スケジュールやコスト管理を徹底することで、計画通りの予算内に収める努力が求められます。
- 資金調達の柔軟性を確保: 想定以上のコストが発生した場合に備え、追加の資金調達手段を確保しておくべきです。
これらの注意点をクリアすれば、以下のような利益を得られる可能性があります。
- 安定したキャッシュフロー: 収益性の高い物件として、長期的な運用が可能。
- 資産価値の向上: 再開発による地域のブランド価値向上で、物件の売却時に高値での取引が期待できる。
- 地域への貢献: 再開発を通じて、地域の活性化や住民の生活向上にも寄与できる点は魅力です。
かくして、この案件は慎重な計画と適切な管理のもとで投資家にとって有望な選択肢になり得ますが、一番のリスクは前での2と3、
- 建設プロセスの管理
- 資金調達の柔軟性を確保
だろうと思います。
特に最近の南カリフォルニアの山火事は周知のとおりですが、このイングルウッドという地域そのものは全く影響がないものの
資材調達
人件費(労働者の質)
等の確保に難が出てくると思います。
かつ長期的なプロジェクトになるわけですから、余計に時間的コストがかさむ可能性があるのです。
実際に実行に移す場合、そのあたりをより掘り下げた検証が必要だろうと思います。
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