こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの住宅ローンについて、非常に興味深い統計が発表されています。
言うまでもなく、住宅ローンの金利は不動産市場や借り手の行動に大きな影響を与えます。
この金利動向を理解することで不動産投資や住宅購入のタイミングを見極める助けになりますが、今回発表された最新データをもとに詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの今
最新の発表によると、現在アメリカの住宅ローン借入者の73.3%が、5.0%未満の金利で毎月のモーゲージ支払いをしています。
この数字は、2022年第1四半期の85.5%というピーク時から12.2ポイント減少です。
当時はコロナウイルスによる騒ぎの最中、金利が歴史的に低く、多くの借入者が低金利でローンを組むことができましたが、ここ数年で金利そのものは急上昇しています。
例えば、2025年1月時点での平均30年固定住宅ローン金利は7.07%です。
この金利水準は、2021年の年初金利2.76%と比べても大幅に上昇。
このような変化が起きた理由は主に以下の通りです。
インフレ対策のための金利引き上げ
アメリカでは、インフレを抑えるために中央銀行(FRB)が政策金利を引き上げています。
インフレ率が高くなると物価が全般的に上昇し、消費者の購買力が低下するものです。
そして2021年以降、エネルギー価格の高騰や供給網の混乱がインフレを加速させる要因となりました。
FRBはこの状況に対処するため、2022年から連続して政策金利を引き上げています。
この政策金利の上昇は銀行の借入コストを増加させ、それが住宅ローン金利にも波及しています。
インフレを抑えるための正常な反応ですが、短期的には借入コストの増加をもたらします。
パンデミック後の経済回復
COVID-19パンデミック後、経済が急速に回復する中で金利も調整されました。
2020年から2021年にかけてはパンデミックの影響で経済活動が停滞し、FRBは歴史的な低金利政策を採用。
この期間中、多くの消費者が低金利を利用して住宅ローンを組むことができました。
けれども経済が回復するにつれて労働市場が活性化し、賃金の上昇や消費需要の増加が見られました。
結果として物価が上昇し、インフレ率が急上昇する結果となったわけです。
またサプライチェーンの混乱や需要過多による価格上昇も、インフレをさらに悪化させました。
これに伴いFRBは低金利政策を終了し、金利を徐々に引き上げることで経済を安定させる措置を取ったことになります。
けれども今回の統計が示すのは、
「金利は急上昇したものの、5%以下のモーゲージ金利保有者は減少しつつある」
という興味深い動向です。
そこで、金利が上昇する中での借入者の状況を見てみましょう。
金利6%以上のローンを持つ借入者の増加
最新のデータによると、6%以上の金利でローンを組んでいる借入者の割合は次のように推移しています。
- 2022年第3四半期: 7.5%
- 2023年第3四半期: 12.2%
- 2024年第3四半期: 17.2%
確実に金利が高いローンを持つ借入者が増加していますね。
結果として一部の借入者はリファイナンスを行うことで、支払い負担を軽減しようとしています。
例えば2024年9月には平均30年固定金利が一時的に6.11%に下がり、多くの借入者がこのタイミングでリファイナンスを行いました。
けれどもリファイナンスがすべての人に適しているわけではありません。
リファイナンスには手数料がかかるため、長期的な節約効果を慎重に計算する必要があります。
そうすると、2025年末に向けて金利はどのように推移するのでしょうか。
識者が採用している予測モデルの平均では、2025年末には30年固定金利が6.34%になると見られています。
徐々に低い水準に落ち着いてくる、というわけです。
もちろん経済予測は常に不確実性を伴い、COVID-19のような予測不可能な出来事が金利動向に影響を与える可能性もあります。
。。。
かくして、少し前まで85.5%が5%以下のモーゲージ金利を保有していたものが、ここまでに73%まで下がったことが分かりました。
それでも7割以上の人々が5%以下でモーゲージを保有しているわけで、そのほとんどは
「今の金利では身動きがとれない」
と斜に構えているはず。
そこで
「今住宅を買うべきか?」
と迷う方もいるかもしれません。
ポイントとなるのは、下の二点です。
1.現在の金利を理解する
住宅ローンの金利が上がっている今、毎月の支払いがどのくらいになるか計算してみましょう。
自分の予算に合うかどうかを確認することが大切です。
また、
2.リファイナンスのタイミングを見極める
既存のローンを持っている場合、金利が下がったタイミングでリファイナンスを検討する価値があります。
です。
金利が市場に与える影響を正しく理解することで、より賢明な不動産投資や購入が可能になるはず。
引き続き、モーゲージ金利の動向も追いかけていきましょう。
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