こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
非常に残念なニュースが飛び込んできました。
本年1月に世界中で話題になった南カリフォルニアの大火ですが、案の定、心無い不動産業者が動いているようです。
何かといえば、今回の南カリフォルニアで発生した火災被害者を狙った、価格つり上げの問題が起きています。
影響を受け得る人々にとっての注意喚起の意味も込めて、あえて本当で実例を挙げながら触れておきたいと思います。
まずは事件の概要ですが、ロサンゼルスのイートン火災で家を失った夫婦が新たに家を借りようとしたところ、不動産業者から38%もの賃料の値上げを提示されたというのです。
家を失った人々は、当然ながら新しい住居を確保しなくてはなりません。
けれども家を失った状況に付け込んで、不当に高い金額を請求されてたとのこと。
この行為は、カリフォルニア州刑法第396条で禁止されている価格つり上げに該当します。
厳密には、非常事態宣言中は賃貸住宅を含む多くの商品やサービスの価格が10%以上引き上げられることが禁じられています。
そこで38%も吊り上げられた家賃を請求されるという今回のケースでは、この法律に明らかに違反しているとして、不動産業者に対して告発が行われました。
価格つり上げの場合、最高刑は最大1年間の拘禁または10,000ドルの罰金が科される可能性があります。
この法律はどのような背景で制定されたのかと言えば、災害時は多くの人が生活に必要な物資や住まいを求めており需要が急増します。
けれども需要の急増に乗じて、一部の悪質な業者が利益を得るために不当に価格を引き上げることがあったのです。
もちろん商売である以上、倫理的に許される範囲で需要に対して価格を上げることは理解できます。
これども災害時においてはその需要の性質そのものが
「別に生活に困っているわけではないが、欲しい」
ではなく
「生活に瀕しており、どうしても必要」
であり、弱みにつけこんだ行為であることに間違いありません。
そこで不当な値上げを防ぐために、価格つり上げを規制する法律が作られたのでした。
具体的な規制内容は
- 食料や医療品
- 建築資材
- 宿泊施設
- 短期・長期の賃貸住宅
など、日常生活に必要なものが対象となります。
例外として商品の仕入れ価格が実際に上がった場、また労働力コストが増加した場合には価格引き上げが認められる場合もあります。
けれどもそのような正当な理由がない限り、特に火事場の後に価格を吊り上げるとは言語道断。
今回の事件も、特に災害時の賃貸市場で起きた問題です。
災害後、家を失った人々が新しい住まいを探している最中にこのような不正行為に直面するのは非常に辛いことです。
今回の告訴は対策として制定された法律がしっかりと機能したわけで、心無い不動産業者によるさらなる被害を抑制する意味で今回の立件自体は意味があったと思いますが、そもそもこのような被害を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。
考えられる被害を防ぐためのポイントは以下のような手段です。
- 価格の適正性を確認する
災害前の相場や近隣の価格と比較して、異常に高いと感じた場合は注意が必要です。
- 証拠を残す
やり取りのスクリーンショットや契約書、価格履歴を保存しておく必要があります。
- 早めに通報する
価格つり上げの疑いがある場合は、カリフォルニア司法長官の専用サイトやホットラインに通報することもできます。
サイト: oag.ca.gov/LAfires
電話: (800) 952-5225
例えば、Zillowなどの物件検索サイトで価格履歴が確認できる場合、価格の急激な上昇が見られた場合は不審に思うべきです。
また、担当者とのメールやテキストメッセージも重要な証拠となります。
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かくして、災害時には多くの人が困難な状況に置かれています。
その中で利を得ようとするのは論外ですが、残念ながらこの手の不正行為が後を絶たないことも事実。
災害絡みの不動産関連でお困りのことがあれば、当サイトにもお問い合わせいただければと思います。
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