こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回紹介するのは、一見信じられないような、けれども本当に起こった話です。
カリフォルニア在住のアン・レイノルズさん。
彼女がハワイの土地を購入したものの、気づいたら見知らぬ誰かが50万ドルの家を建てていたという衝撃的な事件が起こりました。
彼女は2018年、ハワイ島の1エーカーの土地を2万2500ドルで購入。
将来はそこに瞑想リトリートを開く夢を描いていました。
けれども2023年になってその購入した土地を訪れた際、なんとそこには見知らぬ2ベッドルーム・3バスルームの家が建っていたのです。
これはいったいどういうことでしょうか。
事態を引き起こしたのは、現地の開発業者のKeaau Development Partnershipとその施工業者PJ's Constructionです。
彼らはもともと、アンが購入した土地の隣であるLot 115に建築する予定でしたが、電話線の位置を頼りに測量を行い、誤ってLot 114、つまりレイノルズさんの土地を造成・建築してしまったのです。
普通は役所に申請した段階でそのミスが分かりそうなものですが、なんと自治体もそのミスに気付かず、許可を出してしまったのです。
許可を出された以上、開発業者は何の疑問もなく建設を開始することになります。
そして仕上がった後にアンが現地を訪れ、そこで初めて関係者全員が間違いに気づいたのでした。
問題が発覚した後、開発業者はアンに同じ価値の別の土地と交換することを提案しました。
けれどもアンは
「星の位置や太陽の向き、そして自身の星座と合う土地だからこそ選んだ」
として、その提案を拒否。
その間にその家には不法占拠者が住みつき、荒らされる事態となりました。
さらに建物が建ったことで、土地の所有者であるアンの固定資産税も4倍に跳ね上がるという二重の苦難に見舞われました。
結局、話し合いは決裂し、開発業者は彼女を含む関係者全員を提訴。
その内容は
「誤って建築された家を所有していることで不当に利益を得ている」
との主張でした。
けれども裁判所はアンへの訴えを棄却し、施工業者に家の解体を命じることとなったのです。
結果としてアンには弁護士費用として3万4000ドルが支払われることが決まり、さらに損害賠償請求も可能と判断されています。
ただし、ここは予想できるとおり、開発業者と施工業者はこの判決を不服として控訴中です。
。。。
この実例が教えてくれる最大の教訓は、「土地購入や建築において正確な測量と慎重な確認がいかに重要か」ということです。
不動産取引や開発では、小さなミスが大きな問題に発展する可能性があります。
また
「更地を買って新しく建築するのは、新築物件を買うより安いのか?」
という点についても、よく考えてみる必要があります。
更地を購入して新しく建てるというのは一見コストを抑えられるように思えても
- 土地の整地
- 許可申請
のみならず想定外の追加費用がかさむことがあり、結果的に新築を買うのと変わらない、あるいは高くつく場合もあります。
もちろんその分、自由に設計できる点や、上手くいけば土地価格が上がる可能性がある点など、更地購入のメリットもあります。
それを踏まえ、更地の開発には最低でも下記のリスクを考慮しておく必要があります。
予想外のコスト:土地の整地、インフラの整備、許可申請などが想定以上にかかることがある
時間がかかる:建築完了まで長期間を要する
市場リスク:途中で不動産市場が下落すれば、思ったような価値を得られない可能性がある
土地購入を検討する際は、事前に土地の用途制限や建築ルールを確認し、電気・水道・下水の有無を把握しておくことが重要です。
そして何より、前述の実例から学べるように、測量士にしっかりと境界を確認してもらうことが肝要です。
今回のようなトラブルに巻き込まれないためにも、更地の購入には慎重な準備を心掛けることが必要となります。
アンさんのような状況に直面したとき、果たして強気の対応が自分にはできるのかどうか。
そのあたりも踏まえた上で、更地の購入は臨む必要があろうかと思います。
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