こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回は「ハウスハッキング(House Hacking)」と「税制優遇」について見ていきます。
アメリカ不動産投資の中で
「ハウスハッキング(House Hacking)」
という言葉を聞くことがありますが、
今回は、その概要と税制優遇について詳しく解説します。
ハウスハッキング(House Hacking)とは、「自分が住む家の一部を賃貸し、住宅ローンの支払いを軽減する戦略」のことです。
例えばデュープレックス(二世帯住宅)を購入し一方のユニットを貸し出す方法、もしくは戸建ての一部をADU(アクセサリー住居ユニット)として賃貸する方法などがあります。
この戦略は不動産投資に本格参入する前に、比較的リスクを抑えて家賃収入を得る手段として人気を集めています。
しかし、ハウスハッキング(House Hacking)の真の魅力は、家賃収入だけではありません。
賢く活用すれば、税制面でも大きなメリットを享受できるのです。
具体的にどのような税制優遇があるのか見ていきましょう。
- 住宅ローン利息控除
住宅ローンを組んでいる場合、一定額まで利息を控除できます。
ほとんどの納税者は、最大$750,000(夫婦別々に申告する場合は$375,000)までの住宅ローンに対する利息を控除できます。
ただし、賃貸部分のローン利息は別の計算方法が適用されます。
- 固定資産税控除
州および地方自治体の固定資産税は、年間最大$10,000まで控除可能です。
しかし、賃貸部分についてはこの上限が適用されず、別途経費として計上できるため、税制上のメリットが増します。
- 減価償却
不動産投資家は、住宅の価値(建物部分のみ)を27.5年にわたって減価償却できます。
例えば、デュープレックスの50%を賃貸する場合、その50%の建物価値を減価償却として計上できるわけです。
- 修繕費・メンテナンス費
賃貸部分に関わる修繕費は全額控除可能です。
例えば、
テナントのために交換したエアコン
賃貸部分の壁の塗り替え
水漏れ修理
などが該当します。
- 光熱費・管理費
もし賃貸部分の光熱費やWi-Fi費用を負担している場合、その一部を経費として計上できます。
例えば電気代の30%が賃貸部分で使用されているなら、その30%を経費として計上できます。
- 自宅オフィス控除
もし物件の管理や賃貸業務のために専用のオフィススペースを設けているなら、自宅オフィス控除を適用できる可能性があります。
これは自営業者向けの控除ですが、ハウスハッカーにも適用できるケースもあるのです。
売却時の税務処理
ハウスハッキング(House Hacking)を行った物件を売却する際には、「121条適用除外(Section 121 Exclusion)」を活用できます。
これは、自宅として2年以上居住していれば、最大$250,000(夫婦合算申告の場合は$500,000)までの譲渡益を非課税にできるというルールです。
ただし賃貸部分に該当する部分はこの免税対象外となり、通常のキャピタルゲイン税が発生します。
ハウスハッキング(House Hacking)とハウスフリッピングの違い
ハウスハッキング(House Hacking)とハウスフリッピングは、それぞれ異なる不動産投資手法です。
ハウスフリッピングは短期間で売却益を狙う投資手法ですが、市場の変動や修繕費用の高騰などのリスクもあります。
一方でハウスハッキング(House Hacking)は長期的に家賃収入を得ながら、不動産の資産価値を積み上げていく戦略です。
どちらを選ぶかは投資スタイルや資金計画によりますが、税制優遇を最大限活用できる点でハウスハッキング(House Hacking)は魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。
まとめると
- ハウスハッキング(House Hacking)は住宅ローンの負担を軽減しながら不動産投資を始める戦略
- 住宅ローン利息控除、固定資産税控除、減価償却など税制優遇が多数
- 賃貸部分の修繕費・管理費・光熱費も経費計上可能
- 売却時は121条適用除外を活用することで節税も可能
となりますが、不動産投資を考えている方にとって、ハウスハッキング(House Hacking)は非常に有効な戦略です。
特に初めて不動産に投資する方にとっては住みながら賃貸経営を学べる貴重な機会となりますので、賢く節税しながら資産形成を進める方法として捉えておくとよいと思います。
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