こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
カリフォルニア州の住宅所有者にとって、また一つ大きな負担がのしかかることになりました。
州の火災保険の最後の砦である FAIRプラン が資金不足に陥り、保険会社に1,000億ドル(約1.5兆円)の特別負担を課す決定が下されたのです。
保険会社としては
「あなたが保険会社として継続する上で義務となる、Fairプランへの支払いを増額しますよ」
というわけで、この費用の半分は最終的に一般の保険契約者が負担する形になります。
かくして、カリフォルニア州で家を持つことのコストが、また一段と上がることになりました。
なぜ、FAIRプランが資金不足に?
FAIRプランは、通常の民間保険会社が引き受けを拒否した住宅に対して、州が提供する火災保険制度です。
近年の 山火事リスクの高まり により、民間の保険会社がカリフォルニアでの火災保険契約を次々と打ち切るなか、FAIRプランの加入者が急増しました。
現在の契約者数は 45万件超 と、ここ数年で大幅に増加しています。
特に ロサンゼルスのパシフィック・パリセーズ では、昨年比で 85%もFAIRプラン契約が増加 しており、それだけ「民間保険に入れない」住宅が増えていることを意味します。
つまりFAIRプランの財務負担は急激に膨らみ、1,000億円規模の資金不足に直面したのです。
保険契約者が半分を負担する仕組み
今回の決定では、1,000億円の特別負担(アセスメント)のうち 50%を消費者が直接負担 することになりました。
以前なら全額を保険会社が負担し、それをプレミアム(保険料)の値上げで回収する方式でしたが、
今年からの新ルールでは、契約者の保険料に 「一時的な追加費用」 という形で直接上乗せされる仕組みになっています。
「一時的」とはいえ、これが終わったら次の山火事でまた追加負担が発生する可能性が高く、実質的には カリフォルニアの住宅保有者全体がリスクを負担する構造 になりつつあるのです。
そもそも、火災リスクは誰が負担すべきか
この制度の最大の問題は、「リスクを負担するのは誰か?」 という点にあります。
山火事が頻発するのは主に高リスク地域(丘陵地、森林エリアなど)ですが、FAIRプランの資金不足を埋めるために 「リスクの低いエリアに住む人々」もコストを負担させられる という状況になっています。
これに対し、消費者団体 Consumer Watchdog は
「実質的な保険会社への救済措置(bailout)ではないか?」
とごもっともな異議を唱えています。
本来保険会社は再保険(リスク分散のための保険)を活用しており、一部の保険会社は
「今回の火災の影響をカバーできる」
と発表 しているのに、なぜ追加負担が消費者に課されるのか? という疑問が残ります。
カリフォルニア州の住宅所有コストはさらに上昇
いずれにせよ、今回のFAIRプランの問題は、カリフォルニアで家を持つことのコストがさらに上がることを意味します。
- 保険料の直接的な上昇
- 既存の保険会社による更なる引き締め(契約拒否・更新拒否)
- 住宅価格への影響(保険料高騰で、購入希望者が減る可能性)
というわけで、すでに State Farm は平均 22%の保険料値上げを申請 しており、他の保険会社も追随することが予想されます。
また保険料が高騰すると住宅の売買にも影響し、特に 山火事リスクの高いエリアでは価格が下落する可能性 もあります。
かくして「家を買う」という行為自体が、より一層 リスクの高い投資 になってきているのが現状です。
これからの住宅所有戦略
では、これからの住宅購入者はどうすべきでしょうか。
特にカリフォルニア州で家を買う際には、次の点を意識することが重要です。
⇒ 購入前に保険の見積もりを取る
家を買う前に、保険会社がどの程度の保険料を提示するのかを確認しましょう。特にFAIRプランしか選択肢がない場合、今後の負担増加を想定する必要があります。
⇒ ハザードマップを確認する
購入予定のエリアが山火事のリスクエリアかどうかを調べることも重要です。リスクの高いエリアでは、今後保険料の急激な上昇や契約拒否が起こる可能性があります。
⇒ 代替の投資先も考える
もし将来の保険負担が大きなリスクになると感じるなら、他の州での不動産投資も選択肢になります。例えば、ネバダ州やテキサス州などはカリフォルニアほど火災リスクが高くなく、保険コストも安定しています。
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かくして、FAIRプランの財政難によりカリフォルニア州の住宅所有者は 実質的な「保険料増税」 を受けることになりました。
保険料の高騰は家の購入コストをさらに押し上げ、結果的に住宅市場全体に影響を及ぼす可能性があります。
これから家を買う人にとって、火災リスクの高いエリアを避けることが、長期的な資産防衛策になる かもしれません。
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