こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近の住宅市場は新規売り出し物件が増えているにもかかわらず、買い手が慎重な姿勢を崩さず、供給が積み上がる状況となっています。
市場は「買い手不在の売り手市場」とも言える微妙なバランスに。
では、具体的にどんな変化が起きているのでしょうか。
まず、
「新規売り出し件数は前年比7.4%増加」
これは2022年以来の高水準です。
一方で、成約件数は6%減少。
販売に至るまでの期間も57日と、コロナ初期以来の長さとなっています。
この状況を生んでいる最大の要因は、高金利と高価格です。
現在の住宅ローン金利は6.89%と、パンデミック前の水準と比べて2倍以上。
これにより、住宅購入に踏み切る人が減少していることは間違いありません。
また、ワシントンD.C.など政府機関の職員が多い地域では、新政権の動きが市場に影響を与えています。
例えば、リモートワークの縮小や政府機関の再編による雇用の不安定さ。
これが買い控えや、売却を検討する動きにつながっているようです。
その一方で、ロサンゼルスではやや異なる動きが見られます。
今年1月の山火事により多くの住宅が焼失し、それに伴い一部の富裕層が新たな住宅を購入。
その結果、5週間連続で下落していた成約件数が上昇に転じました。
とはいえ、全国的に見れば、買い手の消極的な姿勢は続いています。
その証拠に、販売市場の在庫は5カ月分に到達しています。
これは2019年以来の水準で、売り手が増えた一方で、買い手が慎重なために物件が市場に滞留していることを示していると考えられます。
ただし、今後の市場の展開としては少しずつ買い手の動きが戻りつつある兆しもあります。
Redfinのデータによれば、住宅購入希望者の問い合わせやツアー予約は1月末の低水準からわずかに上昇。
ここから市場全体が活発化する可能性も考えられるのではないでしょうか。
けれども依然として金利の高さと住宅価格の上昇は大きな壁です。
特に
「低金利時代に購入した売り手が、現在の金利水準で買い替えをするのか?」
という点は、市場の流動性を左右する重要な要素です。
今後の展開として、金利の変動や政治・経済の動向が、買い手の心理にどのような影響を与えるかが鍵となると思います。
ここから、いよいよ本年のアメリカ不動産市場の動きが本格的に見えてきそうです。
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