こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
HOA(Homeowners Association)、住宅所有者で構成される組合管理の地域で暮らすことには、一定の費用が発生する一方で、多くのメリットもあります。
美しく整備された共用エリア
プール
テニスコート
といった施設、地域全体の資産価値の維持など、魅力的な点はあるものです。
けれども「隣人とのトラブル」が発生したとき、HOAはどこまで介入してくれるのでしょうか?
「騒音がひどい」
「無許可で大規模リフォームをしている」
「嫌がらせを受けている」
こうしたトラブルに対して、HOAにどこまで期待できるのかを見ていきましょう。
HOAにできること、できないこと
まず、HOAの役割を理解しましょう。
基本的に、HOAはコミュニティのルール(CC&Rs:Covenants, Conditions, and Restrictions)を守らせるための組織です。
このルールには以下のようなものが含まれます。
- 景観の維持(芝生の手入れ、外壁の色など)
- 住宅の増築・改築の許可
- 短期賃貸の制限(Airbnbなど)
- 騒音や迷惑行為のルール
つまり、HOAは「地域のルール」を施行する責任があります。
とはいえ、言い換えるとそれ以上のこと、例えば個人間のトラブルの解決までは含まれていません。
事例:HOAを訴えた住民、敗訴
最近、カリフォルニア州でHOAを訴えた住民がいました。
この住民は隣人と激しいトラブルになり、暴力事件に発展。
怪我を負い、その責任の一部をHOAにも求めたのです。
けれども裁判所はHOA側の主張を認め、住民の訴えを却下しました。
その理由は、
「HOAに住民間の争いを解決する義務を課すことは、過大な負担を強いることになる」
と判断されたからです。
つまり、HOAは「警察」でも「裁判所」でもないので、住民間の私的なトラブルには介入しない、ということですね。
ここに、少なくともカリフォルニア州では「HOAに紛争解決の責任はない」との判例ができたことになります。
HOAが介入するケースは
とはいえ、すべてのケースでHOAが無力なわけではありません。
例えば以下のような場合、HOAに対応を求めることができます。
1. 隣人がHOAのルールを破っている場合
例えば、
- 許可なく大規模な増築をしている
- ゴミを放置している
- ルールで禁止されているはずのペットを飼っている
このような場合、HOAはコミュニティのルールを施行する責任があるため、正式にクレームを入れることで対応してもらえる可能性が高いです。
2. 騒音トラブル
「深夜まで大音量の音楽を流している」「犬の鳴き声がひどい」といった騒音問題も、HOAのルールに違反しているなら、対応を求めることができます。
そこで、証拠(録音や第三者の証言など)を揃えておくと、HOAも動きやすくなります。
それでも解決しない場合
前述のようにHOAが動入れくれる場合もあれど、HOAが動かない、もしくは対応しても改善しない場合、どうすればいいのか?
それには下の手順が推奨されます。
1. まずは直接話し合う
「隣人トラブルの最善の解決策は、冷静に話し合うこと」と専門家も指摘しています。
もちろん相手が協力的でないと難しいですが、トラブルの初期段階では最も効果的な手段です。
2. HOAに正式なクレームを提出
話し合いで解決しない場合、正式な書面でクレームを提出しましょう。
口頭ではなく、メールや手紙など記録に残る形で提出することが重要です。
3. 調停(Mediation)や仲裁(Arbitration)を利用
HOAが対応しない、あるいは隣人と直接話してもダメな場合、調停や仲裁を検討できます。
これは、第三者の専門家が仲介して解決を目指す方法です。
裁判よりも費用が安く、時間も短縮できるのがメリット。
4. 警察や自治体に通報
- 夜中の騒音なら、警察に通報
- 不衛生な環境なら、自治体の衛生局に報告
こうした手段を取ることで、より強制力のある対応が期待できます。
5. HOAを訴えるパターン
お薦めはしませんが、最終手段として、HOAを訴えることも可能です。
ただし、以下の点を考慮する必要があります。
- 裁判費用が高額(数千~数万ドル)
- 時間がかかる(数ヶ月~数年)
- 隣人との関係がさらに悪化する可能性
実際にそこまでするべきなのか、裁判を起こす前に、他の方法を検討するのが賢明かおしれません。
。。。
かくして、HOAの役割は、「コミュニティのルールを施行すること」であり、住民同士の私的なトラブルを解決する責任はありません。
HOAに対応を求めるべきケース
▼ 隣人がHOAのルールを破っている(違法な増築、ペット、ゴミ放置など)
▼ HOAが騒音や迷惑行為を無視している
HOAが対応しない場合の対策
▼ 直接話し合う
▼ HOAに正式なクレームを出す
▼ 調停や仲裁を利用する
▼ 必要なら警察や自治体に通報
▼ 最終手段として訴訟を検討
隣人トラブルが発生した場合、HOAがどこまで対応できるのかを正しく理解し、適切な手段を取ることが重要です。
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