こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
カリフォルニアを中心としたアメリカの住宅市場について、最近の動きを分かりやすくまとめてみました。
2025年が始まってまだ間もないですが、住宅ローン金利や在庫数など動向を左右する要素がいくつか出てきているようです。
ポイントをついてみていきましょう。
住宅ローン金利と市場の動向
- 金利が依然として高め
2025年に入ってからも住宅ローン金利(モーゲージレート)は高い水準が続いています。1月の前半から中旬にかけて金利が8か月ぶりの高さに達したことが、売買の落ち込みに影響したとみられています。
- 販売数が1月に減少
1月のカリフォルニア州の既存一戸建て住宅の成約数は約25万4,110戸で、前月比で10%ダウン。これは過去13か月で最も低い水準で、かつ月間ベースでここ30か月間で最大の減少率でした。一方で、ここ5週間ほどは金利がやや下がる傾向が見られているようです。もしこのまま金利が落ち着いてくれば、第1四半期末あたりに取引が持ち直す可能性があるかもしれません。
住宅供給が意外なほど増加
- 新規物件が大幅に増えた
2024年12月には1年ぶりに新規物件数(新規アクティブリスティング)が一旦減少しましたが、今年1月は再び急増しました。年単位で見ると過去45か月で最大の伸び率だそうです。コロナ前の水準にはまだ届かないものの、1月としては5年ぶりに高いレベルに達しました。
- 在庫が増えるメリットと今後の見通し
物件数が増えると市場にある在庫(Unsold Inventory Index)も増えるため、買い手にとっては選択肢が広がるメリットがあります。その結果、価格上昇のペースが鈍化するかもしれません。一方で、春の購入シーズンに向けて需要も高まるので、再び競争が激しくなる可能性も。今後の金利や景気次第では、売り買いのバランスがどう動くか注目です。
一戸建て賃料の伸びがやや鈍化
- 2024年の全米平均の家賃上昇率は1.8%(12月時点)
一戸建て住宅の賃料(レント)は12月時点で前年同月比+1.8%と、ここ4年で最も低い伸び率になりました。2024年全体で平均2.6%の伸びだったので、2010~2020年の平均(3.5%)よりも控えめです。
- エリア別ではワシントンD.C.やデトロイト、シカゴが好調
一方で、地域によっては**ワシントンD.C.(+5.6%)やデトロイト(+5.5%)、シカゴ(+5.1%)**など、比較的高い伸びを見せている都市もあるようです。2025年も雇用が堅調であれば、家賃の伸びも安定またはやや上向きになるかもしれません。
住宅着工数が1月に大幅ダウン
- 天候不良が建設に影響
1月の全米の住宅着工数は、前月比-9.8%と大きく落ち込みました。加えて雪や寒波による悪天候が原因で、特に北東部・中西部・南部で建設が止まったり遅れたりしたようです。
- 西部では急増
面白いことに、西部では1月に着工数が前月比+42.3%と急上昇しました。地域差が顕著になったのは、気候の影響が大きいといえますね。
- 今後の見通しは慎重
許可件数がわずかに増えているので、春先にかけて多少の回復が期待されていますが、金利や関税、新たな移民政策などが建築コストや労働力不足にどう影響するか不透明です。実際、住宅建設業者の景況感を示すNAHB/Wells Fargoの指数が5か月ぶりの低水準に落ち込んでいることもあり、予断を許さない状況です。
消費者マインドは15か月ぶりの低水準
- インフレへの懸念で落ち込み
ミシガン大学の2月の消費者信頼感調査では、全体指数が前月の71.7から64.7に大きく低下し、2023年11月以来の低水準となりました。回答者たちは、金利や関税の影響で今後のインフレが進む可能性を警戒しています。実際、1年先のインフレ予想も4.3%に上昇し、多くの人が価格上昇を懸念しているようです。
- 政策リスクが心配材料
通商政策などがまだ不透明なこともあり、当面は消費者心理が上下しやすいと考えられます。ローンを組むのか、今は様子を見るべきか、普通の消費者も迷う時期かもしれません。
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こうしてみると、2025年の住宅市場は、まだ始まったばかりとはいえ、高めの金利・増えてきた住宅在庫・地域差が大きい着工数・伸び悩む家賃・揺れる消費者マインドなど、さまざまな要素が絡み合って動いているようです。
金利が緩やかに下がれば春先以降の住宅販売は回復するかもしれませんが、政策や建築コスト、天候など不確定要因はたくさんあります。
そうすると、住宅購入や売却を検討する方は、これまで以上に情報収集が重要になりそうです。
特に物件初買いの方にとっては、これから本格化する春の売買シーズンがどう動くかが気になるところ。
まずは金利の傾向や在庫数の推移をしっかりウォッチしながら、自分の予算やライフプランに合った選択をするのがおすすめです。
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