こんにちは。アメリカで長年暮らしていると、“不労所得”の象徴として語られがちな「大家業」の実際が、イメージほど甘くないことを何度も耳にします。
先日読んだ記事では、なんと賃借人とその犬が部屋をメチャクチャにしてしまい、約1万7千ドル(約200万円近い)の修理費を請求しようとしているのに回収のめどが立たないという、おそろしいケースが紹介されていました。
しかも大家さんは軍の退役軍人で、この物件を運用しながら生活をやりくりしていたそうですから、痛手は計り知れません。
特に気の毒だと感じたのは、物件の管理を委託していたはずのプロパティマネジメント会社が、どうやら杜撰なテナント選定をしていたらしい点。
オーナーとしては不動産の知識が乏しい場合、管理会社にすべて任せてしまうのも仕方ありません。
私自身も
「委託して安心!」
と気を抜いてしまう感覚はわかるのですが、その結果、家賃滞納やペット禁止のルールを破るような借り手を入れられてしまい、結局泣きを見るケースは少なくないようです。
ちなみに、裁判所からは賃借人に支払い命令(損害賠償の判決)が出ても、実際にそのお金を回収するのはまったく別問題。
相手が財産や収入を持っていない場合は、裁判所で“資産査定”をするような手続きを取ったところで回収できないことも多いといいます。
逆に給料がある人なら15~25%くらいを差し押さえることもできるそうですが、もし行方をくらまされたり、そもそも安定収入がなかったりすれば絵に描いた餅です。
さらに読んでいて驚いたのは、こういう被害に遭っても、裁判・弁護士費用を捻出できないと負の連鎖にハマってしまうこと。
持ち家のローンは払わなきゃいけないし、物件を売るにしても修繕なしではなかなか買い手がつかない。
かといって修繕費もままならない──そんなジレンマに陥るのです。
もし弁護士を雇えないなら、米国ではFiverrやUpworkといったフリーランスサイトで、書類作成の手伝いを部分的に依頼するやり方もあるようですが、そこまで自分で動くのは相当パワーが要りそうです。
実際、このオーナーさんは内装のペンキ代を自腹で払い、床のカーペットはペットの排泄物で傷み、壁には子どもの落書きが残るなど、写真だけでも心が痛む状態でした。
いっそのこと
「業者に現状のまま買い取ってもらう」
とすら考えたそうですが、その場合は相場よりかなり安く買い叩かれる可能性が高いことになります。
競合する買い手が現れれば値段は上がりやすいので、たとえローン形式で修理費を工面してでもある程度きれいにしてから売りに出すほうが結果的に得策という考え方もあると思うのです。
この一件でいちばん学びたいのは、やはり
「人に物件を預けるなら、自分で管理会社をしっかり調査する」
という当たり前の教訓でしょうか。
安易に人に任せると、「入居者の審査」や「問題発生時の対応」をいい加減にされるリスクは常にあります。
管理会社との契約書を確認し、定期的に物件をチェックする仕組みを自分で把握し、万一トラブルがあっても最悪の事態に対処できるよう、ある程度の知識と費用を蓄えておく必要がありそうです。
日本からも、「いつか海外不動産を持ちたい」と考える方々も増えていますが、こういうトラブルは決して対岸の火事ではありません。
「家賃収入で楽して暮らす」
みたいな美味しい話ばかりに目を奪われず、ビジネスとしての覚悟を持つのが大切だと思います。
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