こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先日当ブログでも取り上げた、最近アメリカのビジネス界を大きく揺るがしている「Corporate Transparency Act(CTA)」について更新情報です。
本項では最新の動きとその背景をわかりやすく解説します。
まず、「Corporate Transparency Act(CTA)」とは何かというところから改めて。
CTAとは、法人が実際に誰によって所有されているかという「実質的所有者情報(Beneficial Owner Information:BOI)」を政府に報告することを義務付ける法律です。
簡単に言うと、「法人を使ったマネーロンダリングや脱税、犯罪行為を防止する目的」で作られた法律というわけですね。
ところが、このCTAに関して昨年末から大きな動きがありました。
2024年12月、テキサス州の裁判所がCTAを「違憲」と判断し、法律の執行を一時停止する仮差し止め命令を出したのです。
しかし、その後すぐに第5巡回控訴裁判所が仮差し止め命令を解除。
最終的には、2024年12月26日にこの仮差し止めが取り消され、2024年12月26日にはCTAの実質的所有者情報(BOI)の報告義務が再び有効となりました。
この紆余曲折により、多くの企業や中小事業者が混乱する事態となりました。
けれども、ここで重要なことがあります。
実は、この一連の騒動を受け、FinCEN(米国財務省金融犯罪取締ネットワーク)は
「すべての企業を一律に対象とするのではなく、リスクの高い外国法人や資金洗浄リスクがある団体などを中心に監視を強化する」
と発表しています。
また、米財務省はCTAに関連して
「小規模企業への負担を軽減するため、当面の間、違反に対する罰則や罰金を課さない方針」
を明らかにしています。
このため、多くの中小規模の企業や個人事業主にとって、すぐに罰則を気にする必要はなくなったといえると思います。
実際、現段階では不動産業者を含む多くの企業がすぐに報告義務を負う状況ではなくなっています。
ただし、このような状況はあくまで暫定的なものであり、法的な動向次第で再び変わる可能性があります。
特に不動産業界では、法人が絡む取引も多く、CTAが最終的にどのような形で運用されるかが大きく影響します。
私たち不動産エージェントとしても、CTAの最終的な適用範囲や報告義務が明確になるまで、定期的に情報収集しながら慎重に対応する必要があります。
特に外国資本が絡む取引や法人を多く扱う場合には、報告義務や法的リスクについて専門家と協力しながら確認することが大切(まさに弊社)。
法律の施行状況や具体的なルールが今後さらに変わる可能性もあるため、CTAについては引き続き注視し、最新の情報をお伝えしていきたいと思います。
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