こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、
「街がグレーに染まるとジェントリフィケーションが進行している」
という興味深い話題が話題になっています。
「ジェントリフィケーション」という言葉をご存知でしょうか。
ジェントリフィケーションとは、比較的所得の低い古くからある地域に新たに高所得者層が移り住み、地域の価値が急激に上がっていく現象を指します。
一見すると、地域の再開発が進み、街がきれいになるため良いことに感じるかもしれません。
けれども実際には、その地域で長く暮らしていた住民が住宅価格や家賃の高騰によって追い出されるなど、問題も多いのです。
そんなジェントリフィケーションの象徴として最近注目されているのが、「グレーの住宅」です。
なぜグレーなのでしょうか?
近年のトレンドとして、住宅をリフォームしたり、新しく建てたりする際に、多くのオーナーや開発業者が「グレー」を選ぶようになっています。
グレーは無難でスタイリッシュ、かつ清潔感があり、多くの人に好まれる色だからです。
特に住宅を転売目的で購入する投資家やデベロッパーは、リスクを避けるために「誰もが受け入れやすい色」を選びます。
そのため、グレーの家が増えた地域は、「新しく生まれ変わった街」であることを暗示するようになりました。
例えば、サンフランシスコのミッション地区では、昔からのカラフルで個性的な家々が次々とグレーに塗り替えられています(これを地元住民は「地域の個性が消えていく」と感じている様子)。
同様に、コロラド州コロラドスプリングスやワシントンDCなど、全米のさまざまな地域で「グレー化現象」が見られています。
また、テネシー州ナッシュビルでは、特にジェントリフィケーションが進んだエリアの住宅価格が、過去8年で平均90%以上も上昇しました。
地域の人口構成も変化し、従来の居住者が減少し、新たな住民層が増えました。
一方で、ジェントリフィケーションがもたらすメリットもあります。
地域への投資が促進され、道路や公共施設の改善、新しいお店やレストランがオープンするなど、生活環境が向上します。
また、既存の住宅オーナーにとっては、自宅の価値が上昇し、大きな利益を得られる可能性もあります。
その一方で、長年その地域に暮らしてきた住民にとっては、経済的に追い出されてしまうリスクが高まるわけです。
加えて、地域固有の文化やコミュニティのつながりが失われる懸念もあります。
実際に、ジェントリフィケーションが進んだ地域では街並みやコミュニティが均質化し、「どこにでもある街」となってしまうことも珍しくありません。
「グレーの家」は確かに魅力的ですが、地域全体が同じ色になってしまうと、街の個性が失われてしまう可能性が高いもの。
クラス住む街はただ単に「きれいで新しい」だけではなく、「多様で個性的」であることも大切だと思います。
ジェントリフィケーションが進む地域に住んでいる方や、投資を考えている方は、その地域の変化をしっかりと見極める必要があります。
ただ単に利益を追求するだけでなく、地域の歴史や文化、住民の暮らしを尊重した形で開発が進むことが、最も理想的ではないでしょうか。
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