こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回は不動産投資家にとっても重要なニュース、「連邦住宅局(FHA)の職員削減が住宅市場に与える影響」について簡単に解説してみます。
最近、トランプ政権による政府支出削減政策が進む中、数万人の連邦職員が職を失っていますが、この影響が住宅市場に深く関わる連邦住宅局(FHA)にも及ぶ可能性が出てきました。
FHAとは低所得者や初めて住宅を購入する方々向けに、最低3.5%の低い頭金で住宅ローンを提供している重要な政府機関です。
実際、2023年にFHAローンを利用した住宅売買は約85億ドルにも及び、2025年1月時点での住宅売買の約15%を占めています。
では、FHAで職員削減が実施された場合、どのような影響が予想されるのでしょうか?
まず第一に、「ローン承認プロセスの遅延」が考えられます。
職員が減少すれば当然、ローン承認にかかる時間が増加します。
特に、通常の審査プロセスではなく「例外」として個別に手作業での審査が必要なケースでは大幅な遅延が予測されます。
これにより、不動産購入を検討している買い手にとっては、承認待ちの間に住宅ローンの金利が変動するリスクが高まります。
また処理時間の遅延に伴い、住宅ローンを仲介する第三者のローンオフィサーが作業負担増のために手数料を引き上げる可能性もあります。
その結果、頭金の少ない購入希望者にとって、さらに負担が増えることが予想されるのです。
不動産投資家の視点から見ても、こうした遅延は市場全体の取引速度を落とし、売却期間が長引くなどの影響をもたらす可能性があると思います。
実際、住宅売買が平均30日で完了する地域では承認に時間がかかるFHAローンの購入者が敬遠される可能性が高くなるはずです。
つまり、投資家が物件を売却する際、FHAローンを利用する購入者からのオファーが成立しにくくなる可能性が出てくるということです。
そのため、不動産投資家としては、市場の変化に合わせて販売戦略を調整する必要があるのではないでしょうか。
例えば、FHAローンを利用する購入者への対応策として、審査期間を考慮した余裕あるスケジュール設定を検討したり、頭金支援プログラムを活用する買い手に情報提供を行うなどです。
現在はまだFHAの人員削減は正式に決定していませんが、これらのリスクを念頭に置き、事前に準備を進めておくことが必要になると思います。
あらゆる策を乱れ打ちのトランプ第二期政権。
今後の政府方針やFHAの動向を引き続き注意深く見守り、不動産市場の変化に迅速に対応できるようにしていきましょう。
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