こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、アメリカで気候変動による災害が多発し、不動産市場にも大きな影響を与えています。
2025年1月のカリフォルニア州ロサンゼルスで発生した大規模な山火事では、被害総額が300億ドルを超えると見られています。
さらにハリケーン「ミルトン」の被害は推定1750億ドル、同じく「ヘレン」は480億ドルの損害を与えました。
このような極端な気象現象はもはや珍しい出来事ではなくなっているものです。
そして特に不動産投資家が注目すべきは、
「気候リスクが高く人々が移住を余儀なくされる地域(Climate Abandonment Zone)」
の存在です。
最新の調査によれば、アメリカ国内の約21,000の郡で人口減少が進み、住宅価格も2055年までに平均6.2%下落する見込みとのこと。
特にカリフォルニア州フレズノ郡は住宅価格が10.4%も下落し、人口が46%も減少すると予測されています。
そのため、不動産投資家としてはこれらのリスク地域への投資や保有物件をどのように守るかを考える必要があります。
例えば、火災リスクが高い地域では、屋根の素材を耐火性の高いクラスAタイプに変更することが重要です。
クラスAタイプは摂氏760度の高温や強風にも耐えられるため、火災被害を最小限に抑えることができます。
また、住宅周辺30フィート(約9メートル)以内は燃えやすい植物や木材を排除し、さらに100フィート(約30メートル)圏内の燃料を極力少なくする「防御空間」の整備も効果的です。
洪水リスクが高い地域では、最低でも洪水予測水位より30cm以上高く配管や設備を設置することが推奨されています。
そして庭の排水を改善し、防水壁の設置や排水ポンプの導入なども重要な対策です。
竜巻が頻発する地域では屋根を金属製に変えることで、竜巻による強風や飛散物から住宅を守れます。
さらに窓やドア、ガレージなど住宅の弱点部分を強化することも欠かせません。
ハリケーン地域では、これらすべての対策を組み合わせ、さらに窓ガラスを強化ガラスに変更したり、耐風・耐衝撃仕様のガレージドアを採用することで住宅の耐久性を高める必要があります。
もちろん、こうした対策には一定の費用がかかります。
例えば金属製の耐火・耐風屋根はアスファルト屋根の約2倍の費用(8,000ドル前後)がかかるもの。
とはいえ、何もしなければ2055年までに気候変動の影響で住宅価値が全米で1兆4700億ドルも失われるリスクがあります。
住宅を今のうちに気候リスクに対応させておくことは、資産価値を守り、将来の損害を回避するための最善策です。
もしもこの手の地域に賃貸物件を所有している場合、このような気候リスクを無視せず、早めに行動を起こして資産を守ることが重要だと思います。
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