こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日は2025年3月に発表された最新の経済データを、不動産投資家にとって重要なポイントを整理しながら詳しく見ていきたいと思います。
まず、2025年2月の米国小売売上高は前月比0.2%増加しました。
これは予測された0.6%の伸びを下回り、1月の小売売上高も改定されて1.2%減(2021年以来最大の減少)です。
内訳をみると、ガソリンスタンドが1.0%減、自動車と自動車部品の販売も0.4%減と低迷しました。
さらに百貨店が1.7%減、レストランも1.5%減となり、消費者心理の弱さが表れています。
労働市場は安定し、賃金上昇が続いていますが、関税問題を巡る不確実性が消費意欲を抑制する可能性がありそうです。
その一方で、消費者物価指数(CPI)は2月に前月比0.2%、前年比2.8%増となり、4カ月連続の上昇後、初めて鈍化しました。
エネルギー価格(ガソリン価格が1%減)と食品価格が安定したことが主因で、住宅費も前年比4.2%増にとどまり、2021年12月以来最小の伸びとなっています。
生産者物価指数(PPI)も横ばいで、市場予測(0.3%増)を下回り、インフレ圧力の緩和が示唆されています。
ただし医療費、保険料、航空運賃など一部分野の価格は依然として高水準のようです。
また中小企業の景況感を示すNFIB中小企業楽観指数は、2月に100.7と2カ月連続で低下しました。
過去51年間の平均98を上回っていますが、関税問題や政府部門の雇用削減に対する懸念が広がり、今後の経済改善期待は前月比で10ポイントも低下。
中小企業が
「拡大を考える時期だ」
と答えた割合も5ポイント減少しており、経済の不透明感が今後も景況感をさらに押し下げる可能性があります。
さらに、消費者のセンチメントは3月に3カ月連続で悪化し、ミシガン大学の消費者センチメント指数は前月の64.7から57.9に低下し、これは2022年11月以来28カ月ぶりの低水準です。
消費者の1年先インフレ予想は4.9%に跳ね上がり、長期インフレ予想も2月の3.5%から3月には3.9%へと大幅に上昇しました。
こうしたインフレ予想の高止まりが続けば、連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定にも影響を与えるのではないでしょうか。
不動産市場関連では差し押さえ活動が前月比5%増となりましたが、前年同期比では1.7%減少しています。
2025年2月時点の米国の住宅差し押さえ物件数は32,383件で、ピーク時(2008年)の月間30万件以上から大きく減少です。
差し押さえ率が高い州としては
- デラウェア
- イリノイ
- ネバダ
- ニュージャージー
- サウスカロライナ
が挙げられます。
2025年の住宅価格は上昇予測がされており、経済が景気後退に陥らなければ差し押さえ活動は今後12カ月間安定すると見込まれています。
こうした最新データを踏まえると、不動産投資家としては消費者心理や中小企業景況感の変化に注意を払いながら、次の投資機会を見極める必要がありそうです。
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