こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回は、不動産投資家として把握しておくべき、最近のアメリカ人の資金繰り事情に関する興味深い情報をお伝えします。
最新のデータによれば、アメリカでは住宅ローンの支払いをするために自身の老後資金である「401(k)」から早期に資金を引き出す人が増えていまるようです。
事実、2024年には401(k)を持つ人のうち約4.8%が「困難引き出し(hardship withdrawal)」を実行したとのこと。
要するに資金難から老後資金に手と付けざるを得ないことになりますが、前年の2023年が3.6%でしたので明らかに増加傾向です。
このような早期引き出しの最も一般的な理由が住宅ローンや家賃の支払いであり、全体の39%を占めています。
2年前の31%からさらに増えていることからも、多くの家庭が住宅コストの負担増に直面している状況がわかります。
これに対し、専門家たちは口を揃えて、住宅ローン返済のために401(k)からの早期引き出しは避けるべきだと強調。
401(k)は本来退職後の生活費を支える重要な資金源であり、早期に引き出すことで将来の資産形成に深刻なダメージを与えることは論を待たないからです。
そして私たち不動産投資家の視点で見ても、この現象は見逃せません。
一面、資金繰りに苦しむ人々が増えていることは今後の市場動向を予測する上での大きなヒントになります。
住宅ローン返済が難しくなった人が増えれば住宅市場での売却案件が増え、投資家にとって購入機会が増えるだろうこともまた事実だからです。
同時に家計の資金繰りが逼迫している状況では、家賃滞納や物件管理のトラブルが増えるリスクも伴います。
また、不動産投資家自身が401(k)を住宅投資の資金源として利用する場合も、細心の注意が必要です。
401(k)からの資金利用方法は主に以下の2つがあります。
- 401(k)ローン:借り入れ可能額は最大で自身の口座残高の50%か、または最大5万ドルのいずれか少ない方。メリットは自分自身から借りる形になるため利息が自身の口座に戻る点です。ただし、転職や退職時には即座に返済が求められます。
- 困難引き出し(hardship withdrawal):返済の義務がない一方で、所得税と10%の早期引き出しペナルティがかかるため、手取り額が大幅に減少します。
両者とも短期的な資金問題を解決するには便利な手段ですが、長期的な資産形成に深刻な悪影響を与えるものです。
これが理由で、専門家は住宅ローンの返済が厳しくなった場合はまずは他の選択肢を検討すべきだと助言するわけです。
そこで具体的には、以下のような方法が考えられます。
- 不要な支出を削減し、副業やパートタイムの仕事で収入を増やす
- 住宅ローン会社と直接交渉し、ローンの条件変更や返済猶予(forbearance)の適用を検討
- ホームエクイティローンやHELOC(ホームエクイティラインオブクレジット)を活用
- 金利が低下している場合は、住宅ローンのリファイナンス(借り換え)を検討
資金調達の難しさや家計の逼迫状況が浮き彫りになる中、不動産投資家はマーケットの変動やトレンドを敏感に捉え、柔軟に投資戦略を調整することがキモとなりそうです。
これらの最新情報を押さえ、自分にとって最善の判断を心がけていきましょう。
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