こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回は住宅購入時に必要な頭金(Down Payment)の最新動向を、不動産投資家の視点から詳しく見ていきましょう。
最新のデータによると、アメリカでは住宅購入に必要な頭金が依然として高騰を続けています。
2024年第4四半期(10月〜12月)の平均的な頭金は購入価格の14.4%に達し、金額としては約30,250ドルとなりました。
これは前年同期より約1,000ドル増加した数字で、過去最高だった2024年第2四半期(15.1%、32,700ドル)には及ばないものの、第4四半期としては新記録となっています。
過去5年を振り返ると、2019年第4四半期(コロナ禍直前)と比較して頭金の割合は3.4ポイントも上昇しています。
では、なぜ頭金がここまで高騰しているのでしょうか?
主な要因としては、住宅価格の上昇と高金利の影響があります。
高金利環境下では、借入金額を抑えるために、可能な限り多くの頭金を入れる購入者が増えているのです。
一方で、投資家やセカンドホーム購入者の動きには変化が見られています。
2024年第4四半期、投資物件への頭金の平均は27.4%で、前年より0.6ポイント減少しました。
また、セカンドホームの頭金も平均28%と、前年より0.8ポイント低下しています。
けれども投資用やセカンドホームの頭金の中央値は、自宅用頭金の2.5倍以上と依然として高水準を維持しています。
これは投資物件やセカンドホームの購入者が金利負担を抑えるため、または貸付条件を満たすために大きめの頭金を支払う傾向が続いているからです。
その一方で、初めて住宅を購入する人や、FHAローンやVAローンなど政府保証付きローンを利用する購入者は比較的低い頭金(中央値の30パーセンタイル)を支払っています。
この「控えめな頭金」も増加傾向で、2024年第4四半期は前年比6.5%増の8,200ドルとなりました。
ちなみにコロナ禍前の2019年にはこの控えめな頭金は約4,600ドルでしたが、現在では約2倍近くにまで膨れ上がっています。
そうすると、今後の頭金の動きはどうなっていくのでしょうか?
短期的には、大きな変化は見込まれていません。
現在の住宅市場は停滞気味で高金利環境が続く中、価格が比較的高い住宅(75万ドル以上)の取引は前年比7.4%増と好調である一方、75万ドル未満の住宅は低調です。
つまり高所得層の購入が活発な一方、中低所得層は住宅市場から距離を置いている状態が続いています。
こうした傾向は当面続き、住宅価格が下落または金利が大きく低下するまで頭金が高止まりする可能性が高いのではないでしょうか。
不動産投資家にとっては、住宅価格や金利動向を慎重に観察しながら頭金を多めに用意できる購入層をターゲットにした投資戦略が有効そうです。
また低価格帯の物件が売れ残る傾向を利用し、購入価格の交渉余地が増えるチャンスとして捉えることもできます。

こうした市場の変化を的確に把握し、柔軟な投資戦略を展開していきましょう。
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