こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日は、不動産投資家にとって非常に重要な、2025年3月時点でのアメリカ経済の消費者心理の最新動向に触れておきます。
3月25日に発表されたコンファレンスボードによる消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index)が、4ヶ月連続で低下しました。
指数は前月から7.2ポイント下落し、92.9となっています。
特に注目すべきは、将来の経済状況に対する消費者の期待を示す「期待指数(Expectations Index)」が65.2まで低下し、過去12年間で最も低い水準を記録していることです。
この65.2という数値は一般に「景気後退の兆候」と考えられる80を大幅に下回っています。
この悲観的な傾向は特に55歳以上の層で顕著となっているようです。
その背景には、政府が社会保障制度やメディケアの見直しを検討しているとの報道が影響していると考えられています。
その一方で35歳未満の若年層の信頼感はやや回復傾向にあり、これは現在の経済状況に対する見方がわずかに改善したことが要因となっています。
また所得別では年収125,000ドル以上の世帯を除き、幅広い所得層で信頼感が低下しました。
このような消費者の悲観的な見通しにも関わらず、実際の消費行動はまだそれほど鈍化していません。
財務長官のベッセント氏は
「経済は政府の支援縮小に適応するための『デトックス期間』が必要」
と述べており、今後消費が実際に減速する可能性を示唆。
そんな中、住宅市場についての最新データも発表されました。
S&Pコアロジック・ケースシラー住宅価格指数(1月)は前年比4.1%の上昇を記録し、ニューヨーク(7.7%)、シカゴ(7.5%)、ボストン(6.6%)が特に高い伸びを示しています。
その一方、タンパはわずか1.5%の伸びです。
新築住宅販売件数は2月に年率換算676,000件と前月比で1.8%増加しましたが、中央値価格は414,500ドルと前月(446,300ドル)よりも下落しています。
経済専門家の間では、高い住宅価格と高金利が住宅市場のさらなる活性化を阻害しているとの見解が強まっています。
さらに連邦準備制度理事会(FRB)は前回の会合で金利を据え置き、今年の経済成長率予測を1.7%(前回2.1%)へと下方修正し、年間インフレ率の予測を2.7%(前回2.5%)に引き上げました。
このような状況の中、トランプ政権による関税政策の影響も不透明さを増しています。
具体的な関税導入についてはまだ流動的ですが、市場や消費者心理に与える影響はすでに無視できないレベル。
こうした経済情勢は、不動産投資家にとっても無視できない要素です。
短期的には消費者心理の低迷や関税政策による不透明感が住宅需要に影響を与える可能性がありますが、一方でFRBが年内に金利引き下げに踏み切る可能性もあります。
不動産投資家としては市場の変化を冷静に見極めながら、住宅市場への影響を注意深くモニタリングしていく必要がありそうです。
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