こんにちは。 アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカでトランプ大統領が発表した新たな関税政策が、不動産市場にどのような影響を与えるのかを考えてみます。
結論から言えば、今回の関税引き上げは住宅価格のさらなる高騰や住宅ローン金利の上昇を招く可能性がありそうです。
トランプ大統領は「Liberation Day(解放の日)」と称し、2025年4月2日に大規模な関税引き上げを発表しました。
この新政策では、多くの貿易相手国に対して最低でも10%の「相互」関税が導入され、自動車については一律25%の輸入税が適用されます。
特に中国製品に対しては、既存の関税と合わせて最大54%にまで税率が引き上げられます。
カナダとメキシコは今回の措置から一時的に免除されましたが、いずれは最低でも10%の関税が課される見込みです。
そうすると、これが住宅市場にどんな影響を及ぼすのでしょうか。
アメリカ住宅建築業者協会(NAHB)によると、住宅建築に使われる材料の約10%は輸入品です。
特に重要な木材の72%はカナダから、そして石膏ボードの原料である石膏の74%はメキシコから輸入されています。
このため、新たな関税によって住宅建築のコストがさらに上昇すると予測されるのです。
具体的には、関税の影響で新築住宅1棟あたりの建築コストが7,500ドルから10,000ドル程度上がる可能性があります。
そうすると、既に高騰している住宅価格にこれが加わることで新築住宅の購入が一層難しくなるのではないでしょうか。
現在の全米での新築住宅の中央値は414,500ドルで、中古住宅の中央値は398,400ドルです。
関税によるコスト増が加われば特に新築住宅の価格がさらに上昇し、初めての住宅購入を検討している人々にとっては深刻な問題となります。
その一方で住宅ローン金利への影響も懸念されています。
関税によってインフレが長期化すれば、連邦準備制度理事会(FRB)が金利を高止まりさせる可能性があり、結果として住宅ローン金利も高いままとなるかもしれません。
現在は30年固定住宅ローン金利は6.6%以上を維持しており、トランプ大統領が目標としている3%台にはほど遠い状況です。
さらに保守系シンクタンク「税財団」によれば、10%の一律関税は家庭の年間支出を平均1,253ドル増加させると推定しています。
これが実現すると確実に家計を圧迫し、ローン返済能力にも悪影響を与えるのではないでしょうか。
このような市況の中、投資家としては市場の変動を慎重に見極める必要があります。
関税による住宅コスト上昇や金利高止まりのリスクを考慮し、投資判断を再検討することは必須。
また価格上昇を見越して、中古住宅市場やリノベーション投資に目を向けるのも一つの方法です。
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今回のトランプ政権の関税政策がもたらす住宅市場への影響は無視できません。
私たちもこれを機会に本年後半の戦略をしっかりと見直していきましょう。
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