こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産投資家にとってアメリカ経済の動向は重要な判断材料ですが、ご存じのとおりトランプ関税により、世界中の市場が混乱に陥っています。
先日に続き、直近のトランプ大統領による関税引き上げが不動産市場にどのような影響を与えるのかを整理してみましょう。
度重なる関税の引き上げが発表されたことで、市場には強い不安感が広がりました。
最大の懸念点は、アメリカ経済が今後12ヶ月以内に景気後退に陥る可能性が高まったことです。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も、関税による経済への悪影響やインフレリスクが想定以上に大きいことを指摘しています。
そうすると、不動産投資家が特に注目すべきポイントはどこでしょうか。
まず第一に、金融市場のボラティリティが高まっています。
関税導入直後には一時的に住宅ローン金利が急落しましたが、すぐに急激に反発しました。
こうした不安定な市場状況ではローン金利が短期間で大きく変動する可能性があるため、資金調達やリファイナンスを検討中の投資家にとっては注意が必要です。
第二に、消費者心理の悪化が顕著になっています。
住宅購入意欲を示すHome Purchase Sentiment指数は、ここ15ヶ月で最も低い水準に落ち込みました。
雇用不安を感じる人の割合は2月の23%から3月には32%へと急上昇しています。
将来的な収入や雇用への不安が広がる中、住宅購入を控える動きが加速する可能性があります。
こうした状況は不動産市場全体の取引件数の低迷や価格下落につながる恐れがあるため、マーケットの先行きを慎重に見極める必要があるものです。
第三に、私たち不動産投資家にとって最も気になる点ですが、建設コストの上昇リスクがあります。
関税の引き上げや移民政策の厳格化により、建設コストは今後さらに高騰する可能性が高いのです。
実際、2月の建設支出は前月比で0.7%増加したものの、今後はコスト高が開発業者の利益を圧迫し、新規プロジェクトの着工を減速させる可能性が指摘されています。
新築物件への投資を考えている方は、建設費用が予想以上に膨らむリスクを織り込んだ計画が求められることになります。
その一方で、不動産市場において興味深いトレンドも現れています。
ベビーブーマー世代が再び住宅購入の主役に返り咲いている点です。
高金利と住宅価格の高騰により、自己資金(ホームエクイティ)を豊富に持つ高齢世代がキャッシュで住宅を購入するケースが増加しています。
現時点で、70歳~78歳のベビーブーマーの約半数が現金で購入を完了している様子。
若い世代が融資審査や返済負担に苦しむ一方で、自己資金を持つ高齢世代は物件取得を積極的に進めています。
投資物件を保有する方にとって、ターゲット市場を高齢者向けにシフトするヒントになるかもしれません。
かくして、不動産投資家としては関税問題に端を発した市場動向の変化を冷静に捉え、リスク管理と投資戦略の見直しを進めることが大切です。
慎重な判断が求められる局面であると同時に、こうした経済変動をうまく見極めることができれば、投資チャンスも広がる場面ではないでしょうか。
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