こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、フロリダ州タンパ郊外の新築現場で掲げられた「頭金ゼロ」という看板がSNSで話題になりました。
まるで2008年の金融危機直前を思い起こさせるような看板に、不動産投資家の間で懸念の声が上がっています。
果たして、2025年の住宅市場は本当に2008年の住宅バブル崩壊時のような状況なのでしょうか。
結論から言えば、似ているようで本質的には異なります。
2008年の住宅市場は、無謀な融資や投機的な買いによって支えられた虚構の需要が存在していました。
けれども現在の市場は「実需」、つまり本当に住宅を必要としている人たちによって動いています。
National Association of Home Buildersのチーフエコノミストであるロバート・ディーツ氏は
「2008年とは根本的に異なり、今は住宅供給が足りていない状況」
と指摘します。
加えて、融資基準も2008年当時とは大きく異なります。
リーマンショック後に施行されたドッド・フランク法の影響で、現在は融資審査が非常に厳格になっているのです。
借り手が返済能力を超えて融資を受けることはほぼなく、住宅所有者の経済的体力も非常に強い状態です。
たとえ住宅価格が20%下落したとしても、多くの住宅所有者は十分なエクイティ(自己資本)を持っており、2008年のような大規模な住宅の投げ売りは起きにくいとされています。
とはいえ、不動産投資家にとって2008年から学べる教訓は今でも有効です。
まず第一に、収入の範囲内で購入すること。
「月々の返済が可能だから」といって無理なローンを組むのは危険です。
実際の収入や支出を正確に把握し、余裕をもった資金計画を立てることが重要です。
そして万が一のための「緊急資金」を確保することも大切。
急な出費や失業など、予期せぬ事態が起きても数ヶ月間耐えられるだけの貯蓄があれば、問題が深刻化するのを防げます。
また、住宅ローンの選択にも注意が必要です。
変動金利ローン(ARM)は初期の返済額が低く魅力的に見えますが、金利が急上昇すると返済が困難になるリスクがあります。
そのため、不確実な時代には毎月の返済額が安定する固定金利ローンを選ぶのが賢明です。
総じていえば、2025年の住宅市場で成功する鍵は市場のタイミングを完璧に見極めることではないかもしれません。
それよりも自分の財務状況を正確に把握し、住宅所有にかかる真のコストを理解した上で、長期的な視点で住宅ローンを選ぶことが最善解と思われます。
結局のところ、「最悪のシナリオを想定しても大丈夫」という安心感こそが、現在の住宅市場を生き抜く最大の武器になるのではないでしょうか。
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