こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、業界でよく聞くのが「若い世代が家を買わなくなっている」という話題です。
その背景には、実はGen Z(Z世代)が進める「FIREムーブメント」が大きく影響している様子。
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の略称でご存じの方も多いと思いますが、質素な生活を送りながら早期リタイアを目指すという運動です。
この概念は90年代に出版された『Your Money or Your Life』という本から始まりましたが、SNS時代になり、特に若い世代の間で爆発的に広がりました。
具体的には、収入の50%から75%を貯蓄し、極端に消費を抑えることで40歳までに経済的自立を達成しようというもの。
彼らが育った時代は学生ローンの高騰、住宅価格の急騰など、不安定要素が満載でした。
そんな中、FIREムーブメントはZ世代に「自分の人生を自分でコントロールできる」という希望を与えたのです。
けれども、ここで大きな疑問が浮かびます。
「果たして家を所有しながらFIREを達成することは可能なのか?」
結論から言えば、かなり難しいです。
その理由を簡単に説明しましょう。
現在、アメリカの住宅の中央値は約42万ドル。
FIREを実践する人は収入の半分以下で生活し、その生活費の30%以内で住宅費を賄うことが推奨されています。
つまり、この中央値の住宅を購入してFIREの基準を満たそうと思ったら、年間約20万ドル以上の収入が必要になります。
これは多くの20代にとって現実的な数字ではありません。
そこで、多くのZ世代が直面しているのが「FIREか、持ち家か」という二択です。
金融専門家によると
「どちらも同時に達成するのは難しいが、生活費が低いエリアで高収入を得ている人など、例外もある」
とのことですが、とはいえ、多くの若者はこの二者択一を迫られます。
家を買うことを優先すれば早期リタイアは難しくなり、早期リタイアを優先すれば家の購入は遠ざかるという現実です。
ただし言わずもがな、節約と我慢は違うものです。
節約は大切だけれども、過剰な制限は逆効果。
家の所有が大事なら、それを優先するのも正しい選択といえます。
かくして、Z世代の多くは柔軟な方法を模索しています。
例えば、
⇒ 郊外の小さい家を選ぶ
⇒ 家を所有せず賃貸で暮らし続け、資産を積極的に運用する
などです。
不動産投資家としても、このようなトレンドを理解することは非常に重要です。
若い世代が伝統的なアメリカンドリームを再定義しつつある今、住宅市場もその変化に柔軟に対応する必要があります。
今後のアメリカ不動産投資を考える際は、一面、こうした世代の価値観や選択を意識することでより確かな投資判断ができるようになるかと思います。
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