こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
家を売却する時に、避けて通れないのがホームインスペクション。
売り手として気になるのが「どんな修繕が必須になるのか?」です。
ホームインスペクション後に指摘される修繕には、実は大きく分けて3つのカテゴリーがあります。
一つ目は、「必ず直さなければならないもの(Mandatory Repairs)」。
具体的には、建物の構造的欠陥や安全性に関わる問題です。
例えば基礎部分の損傷や屋根の雨漏り、電気系統の不具合、シロアリの被害などです。
こういった重大な欠陥は多くの場合、買い手の住宅ローン承認条件にも影響を与えるため、修繕が義務づけられます。
二つ目は、「必ずしも修繕する必要がないもの(Non-Mandatory Repairs)」。
これは主に見た目や通常の経年劣化に関することで、例えば壁の小さな傷やペンキの剥がれなどです。
これらは契約上明記されていない限り、修繕の義務はありません。
ただし見た目が古いほど印象はよくなりませんので、コスメティックと呼ばれるお化粧ペイント等は最低でも実施した方がよいと思います。
そして三つ目が、「交渉次第の修繕(Negotiable Repairs)」。
これが売り手として最も悩ましい部分で、この手の修繕は市場の状況によっても対応が異なります。
売り手市場(Seller's Market)の場合、買い手は競争が激しいため小さな修繕について交渉を避ける傾向があります。
けれども通常の市場環境では、買い手から修繕を依頼されるケースも多くあります。
そこで効果的な交渉テクニックを一つご紹介します。
例えば小さな問題点が指摘された場合、「ホームワランティ(住宅保証サービス)」を1年間分(約500ドル程度)提供することで、買い手の不安を和らげる方法があります。
また、売却時に不要になる家電製品(洗濯機や乾燥機など)を交渉材料として使い、修繕の代わりに提供することもあります。
こうした交渉術を使うことで売り手の負担を軽減しながら、買い手の満足度を高めるわけです。
そして何より大切なのは、合理的な判断を下すこと。
小さな修繕を頑なに拒むより、ある程度対応することで取引がスムーズに進み、最終的な利益につながることが多いものです。
かくして、ホームインスペクション後の修繕依頼に対しては、冷静にカテゴリーを見極め、柔軟かつ戦略的な交渉を心がけましょう。
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