こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日は少し変わった不動産投資のアイデアを紹介したいと思います。
アメリカの不動産業界で密かに話題の税制活用法、「Augusta Rule(オーガスタ・ルール)」についてです。
これは米国の連邦税法「Section 280A(g)」という条文に基づくもので、
「年に14日間までなら、自宅を貸し出して得た収入は非課税」
という、とてもユニークな仕組みになっています。
実際、ジョージア州オーガスタ市では毎年、ゴルフのメジャー大会「マスターズ」が開催される期間にこのルールがフル活用されています。
たった1週間ほどの期間でも、地元住民は10万ドル(約1,500万円)を超える収入を得ているケースがあるというから驚きです。
通常ならばこれほどの収入があれば高額な税金を払う必要がありますが、この「14日ルール」のおかげで税金は一切かかりません。
この「14日ルール」が適用される条件は以下の通りです。
- 自宅(もしくは別荘など個人で利用している住宅)であること
- 年間の貸出日数が14日以内であること
たったこれだけの条件をクリアすれば、期間中に得た賃料収入は「非課税」となります。
ただし、このルールには注意点があります。
それは、
「15日以上貸してしまった場合、すべての収入が課税対象になる」
ということ。
仮に1日でも超えれば、非課税の特典はゼロになってしまいます。
つまり「短期で高収入が狙える特別なイベント開催期間をピンポイントで狙う」必要があるということです。
また、14日以内の短期貸出では「経費控除」が一切認められません。
クリーニング費用や設備投資、消耗品などを経費にすることはできないため、実質的な利益率を考慮した上で価格設定をする必要があります。
ちなみに、このルールがなぜ「オーガスタ・ルール」と呼ばれているのでしょうか。
その理由は単純明快、マスターズ期間中のオーガスタ市がまさに「14日ルール」に最も適した条件を備えているからです。
ホテル不足のため宿泊施設が極端に不足し、しかも世界中から富裕層や企業関係者が集まるため、一般住宅でも信じられないほどの高額な賃料が取れるのです。
オーガスタでは、普通の3ベッドルームの住宅でも1週間で1万ドル〜1万5,000ドルが相場になっています。
高級住宅になると数日間の貸出で10万ドル以上を稼ぐことも珍しくないほどです。
もちろん当地の税務署により「適正な市場価格であるかどうか」はチェックされており、高額な料金設定をする場合は近隣の宿泊施設やAirbnbなどの価格情報を揃えて「これが適正価格です」という証拠を準備する必要があります。
また、このルールはオーガスタだけの特例だと思われがちですが、実は全米どこでも活用できます。
例えば、スーパーボウルが開催される都市、ワールドカップの会場付近、大型の音楽フェスティバルが行われる地域など、ホテル不足で宿泊料金が高騰するイベントは米国各地に存在します。
そうしたイベントの期間を狙って、短期で高収入を得る戦略も十分可能なわけです。
その際には、やはり14日を超えないよう注意しながら運用することが肝心になります。
。。。
不動産投資家の視点から、オーガスタ・ルールを上手に活用するためのポイントをまとめてみると、
- 貸出日数は絶対に14日以内に抑える
- イベント期間など、需要が急激に高まる時期に限定して貸し出す
- 高額な料金を設定する際は、市場の価格情報など客観的な根拠を揃えておく
- ホテル並みのクオリティ(リネン、清掃、アメニティ)を用意して顧客満足度を高める
- 事前にチェックインやトラブル対応の仕組みを整備しておく
となり、このあたりがオーガスタ・ルールを使った収益最大化のポイントになります。
興味のある方は、まずご自身が保有している、あるいは今後購入を検討している物件がこうした短期イベント向け貸出に向いているかを検討してみてください。
かくして、米国の不動産投資には、このように税制上の有利な仕組みを利用して収益を最大化する方法がいくつも存在しているのです。
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