こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
HUD(アメリカ合衆国住宅都市開発省)がFHA(連邦住宅局)ローンについて、非永住権保持者に対する要件変更を発表しました。
2025年5月25日から、非永住権保持者(Non-permanent residents)はFHAローンの利用資格を失うことになります。
非永住権保持者(Non-permanent residents)とは、DACA受給者(Deferred Action for Childhood Arrivals:子供時代に米国へ移住した人への救済措置の対象者)や就労ビザ保持者など、合法的に米国に滞在する人々を指します。
この影響は意外に大きく、2024年だけでFHAローンは全米で766,942本もの住宅ローンを保証しているのです。
FHAローンのメリット(Advantages of FHA Loans)
- Low down payments (as low as 3.5%)(頭金は最低3.5%から)
- Flexible credit requirements(柔軟な信用要件)
- Down payment assistance(頭金援助制度の活用)
- Often qualify for higher home prices(より高額な住宅へのローンが可能)
これらのメリットが使えなくなることで、非永住権保持者(Non-permanent residents)の住宅購入能力(Purchasing Power)は著しく低下することになります。
例えば、同じ所得・条件の購入者の場合だと
- FHAローン:$200,000の住宅が購入可能(頭金3.5%、援助あり)
- コンベンショナルローン(Conventional Loan):$135,000が上限(頭金援助なし、厳しい信用要件)
と、こうした購買力の低下により、地域によっては住宅価格の下落圧力が生じるかもしれません。
そこで不動産投資家としては、この政策変更がどのような市場への影響(Market Impacts)を生むか、よく理解しておく必要があります。
考えられる影響(Potential Impacts)
- 購入層の減少(Shrinking Buyer Pool)
医療、エンジニアリング、IT業界などで働く非永住者が住宅市場から離脱することが考えられます。 - 賃貸需要の増加(Increased Rental Demand)
購入が難しくなることで、多くの非永住者が賃貸住宅へと流れ、賃貸市場が活性化する側面は起こりえます。 - 物件価格への下落圧力(Downward Pressure on Prices)
需要が減少することで一部地域では価格調整の兆候が見られる可能性があります。
かくして、市場環境が変化するときこそ積極的に新たな戦略を模索する好機です。
例えば、
- Buy-to-Rent(購入して賃貸する)
購入意欲があるが、融資が得られない層をターゲットにした賃貸ビジネスを強化。 - Rent-to-Own Programs(賃貸後購入プログラム)
一定期間の賃貸を経て住宅購入に繋げる仕組みで、新しい顧客層を囲い込むことが可能。 - Community Lending Partnerships(地域金融機関との提携)
プライベートマネーやクレジットユニオンと提携し、独自の融資プログラムを提供。 - ITIN Mortgages(ITIN番号を使った住宅ローン)
ITIN(Individual Taxpayer Identification Number:個人納税者番号)を利用した住宅ローンは、2023年に全米で5,000〜6,000件発行。この仕組みを積極的に活用することで新たな顧客層を開拓。
特に注目すべきはITINローン(ITIN Mortgages)です。
元々、ITINローンは非合法滞在者向けに考案された仕組みですが、今回の変更により合法的な非永住者層にも需要が拡大する可能性があります。
また新たなFHA要件が将来的に法的挑戦を受け、撤回される可能性も視野に入れて、市場の変動性(Market Volatility)に備える必要がありそうです。
まとめると、
- FHAローンの利用資格が非永住者に制限されることで、市場に影響が出る
- 賃貸需要が増加する一方、購入層が減少し価格調整圧力が生じる可能性がある
- Buy-to-Rent、Rent-to-Own、地域金融機関との提携、ITINローンを活用し新規顧客を取り込む
- 今後の法的な動きや市場のボラティリティを注意深く観察する必要がある
かくして、FHAローンの新基準(New FHA Loan Requirements)は、市場に潜在的な変化をもたらしますが、同時に投資家にとって新たなビジネスチャンス(Business Opportunities)を生むきっかけにもなります。
今後の市場動向に注目しながら、積極的に対策を進めていきましょう。
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