こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2025年に不動産を売買する際に、ぜひ注意しておきたいトピックを取り上げます。
関税や貿易摩擦の影響で不動産取引時の『Seller Concessions(売主によるクレジット)』や『Repairs(売主による修理)』のバランスが大きく変化しているという事実。
ここまでの2025年、アメリカの住宅市場において「関税」が意外にも重要なファクターとなってきました。
具体的に、どのような影響があるのでしょうか?
まず、不動産取引では住宅のインスペクション(住宅診断)後に発生する修繕費を巡って、『売主が修理を負担する』か、それとも『買主がクレジットを受け取り自分で修理を行う』かの二択があります。
従来は売主が修理するケースも比較的多かったのですが、最近の新たな関税導入や中国との貿易摩擦により建材価格が急激に上昇しています。
そのため売主側は修理費の見積もりが難しくなり、大きな修理についてはリスクを避けるため「クレジット提供で済ませたい」という意向が強まっているのです。
「市場は不透明で、材料費の値上がりが読めないため売主も買主も非常に慎重になっている」
という状況があり、基本的な資材である「釘」一つとっても70%も値上がりしている状況です。
また
- 屋根材など金属を使う部材はすでに大幅な値上げが始まっている
- 結果として大きな修理になればなるほど、価格が大きく揺れ動いている
という状況があります。
そこで、売主の立場としては、
- 小規模な修理(たとえば、水回りや空調設備の簡単なメンテナンス)については自ら迅速に修理してしまい、買主を安心させて取引を進める。
- 屋根の交換や外壁の修理のような規模が大きく、費用の見通しが難しい修繕については、『クレジット』として一定額を値引きして買主に渡し、あとは買主側に任せる。
という方法が一般的になりつつあるのです。
この点は各市場にもよりますが、
「20,000ドルをクレジットとして渡し、大規模修理は買主に任せる」
方法がトレンドになっています。
かくして、売主側は
「手軽な修理を即対応し、大規模な修理は買主に任せることでリスクを最小化する」
という姿勢を明確にしています。
対する買主側ですが、こちらも決してリスクがないわけではありません。
特に注意すべきは、『売主から一定額のクレジットをもらい、自分で修理を行う』という選択をした場合です。
インスペクションの報告書に書かれている内容だけでは、隠れた問題が分からない場合があります。
そのため、買主は、クレジットを受け取る前に、
- 屋根や外壁など大きな修理の場合、事前に専門家を呼んで部分的に開いて調査を行う。
- 想定外の問題が見つかれば、追加で売主と交渉をする。
という準備が今まで以上に必要です。
結局のところ、
「関税による負担をどちらが支払いましょうか?」
という話。
そこで、2025年に不動産取引をする皆さんに向けて、以下のポイントをまとめました。
- 小さな修理は売主が即対応、大きな修理は買主がクレジットを受け取り対応する流れが一般的になっている。
- 関税の影響で建材費が不透明になっているため、大規模修理については「クレジット」を選ぶ場合、実際の費用が想定以上になるリスクを考慮し、追加調査を必ず実施する必要。
- 取引期間が長引くと、住宅ローンの金利上昇などで買主が融資を受けられなくなるリスクもある。
かくして、ここからアメリカ不動産取引を行う場合、「関税」による影響をしっかり意識して取引を進める必要がありそうです。
そして不動産投資家として重要なのは、こうした市場の不透明感の中でいかにリスクを軽減するかです。
私自身、不動産エージェントとして、買主や売主が迷うシーンを数多く見てきました。
そんなときに一番の支えになるのは、やはり専門家の意見や調査結果です。
不動産エージェント、住宅診断士、弁護士、融資担当者などと連携し、プロの意見を取り入れて慎重に判断しましょう。
特に関税や材料費が不安定な今こそ、専門家とチームを組んで柔軟かつ素早く行動することが成功の秘訣です。
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