こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産市場は今、とある大きな転換点を迎えつつあります。
その鍵を握るのは、「ベビーブーマー世代が所有する古い住宅ストック」です。
現在アメリカの住宅市場ではベビーブーマーが圧倒的なシェアを占めています。
アメリカの人口の約20%を占めるベビーブーマーですが、彼らが所有する住宅はなんと全米の37%にのぼります。
特にセカンドハウスや投資用賃貸物件に至っては、それぞれ57%、58%という高い割合でベビーブーマーが保有している状況です。
一方で、ミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)の約45%は未だに住宅を所有できずにいます。
その理由は明白で、リーマンショック後の経済状況や最近の金利高騰により、住宅価格が高止まりし、購入が非常に難しくなっているためです。
この状況を打破する鍵が「Great Wealth Transfer」、日本語では史上最大の資産継承です。
ベビーブーマー世代が保有する住宅資産は約17兆ドル(約2,400兆円)にも及び、これはアメリカ全体の住宅資産の約半分に相当します。
この膨大な資産が世代を超えて継承されることで、多くのミレニアル世代が住宅購入への扉を開くことになるわけです。
もちろん問題は、ベビーブーマーがいつこれらの住宅を売却するのか、ということになります。
最近の調査によると、ベビーブーマーの半数以上が「自宅を売却する予定はない」と回答。
けれども彼らの90%が「自宅に住み続けることに不安を感じている」とも言っており、特に維持管理費や固定資産税、光熱費の増加を懸念しているのです。
さらに注目すべきは、売却した場合の利益の大きさです。
ベビーブーマーの3分の2が10万ドル以上の売却益を見込んでおり、10人に1人は50万ドル以上の利益を確保できることが見込まれています。
こうした利益は、住宅の売却時に発生するキャピタルゲインの非課税優遇措置で、ほとんど課税されることなく手元に残ります。
オーナーが今は売るつもりはなくとも、いつかは売却の時期がくるわけですから、今後10年間で住宅市場に大きな動きが起こる可能性が高いことになります。
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かくして、ベビーブーマーが住宅を売却、または資産を次世代に移転させる方法次第でアメリカ不動産市場の動向は大きく変わります。
そうすると投資家としては、次のような動きがポイントになりそうです。
- ベビーブーマーの動向を注意深く観察し、売却が活発になったエリアを把握する
- 資産継承によって新たな購入者層が生まれる市場をターゲットにする
- 維持管理が困難になった物件を購入し、リノベーションを施すことで価値を高める投資戦略を立てる
ベビーブーマー世代の資産継承がもたらす住宅市場の「転換点」を、積極的に活用する準備を始めるべきかもしれません。
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