こんにちは。 アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
現在、アメリカ経済は非常に複雑な状況を迎え、住宅市場、労働市場、そして消費者心理がそれぞれ異なる動きを見せているようです。
最初に注目したいのが、新築住宅市場です。
2025年3月、新築住宅販売は予想を大きく上回る724,000件の年率ベースとなりました。
これは2024年9月以来の高水準で、一時的に住宅ローン金利が低下した影響によるものです。
特にアメリカ南部では22.3%の大幅増を記録しました。
けれども東北部、中西部、西部ではそれぞれ33.3%、15.9%、12.2%の減少となっています。
全国的に住宅価格も前年比で7.5%低下し、中央値は403,600ドルまで下がっています。
その一方で、建築資材のコスト増や新たな関税の影響で今後の住宅市場には暗雲が漂っています。
建設業者は既に新規住宅建設のペースを落とす方針を示しており、今後数ヶ月の市場動向には注意が必要です。
カリフォルニア州の住宅市場について、こちらは深刻な住宅価格高騰が続いており、一般家庭にとって住宅購入がさらに難しくなっています。
2024年のデータでは、カリフォルニア州で中央値865,440ドルの一戸建て住宅を購入できる世帯はわずか18%となり、前年の19%からさらに悪化しました。
特に黒人世帯とヒスパニック/ラテン系世帯では、それぞれ10%、9%という厳しい現実が見えます。
これに対しアジア系は27%、白人世帯は21%が住宅を購入できる状況ですが、いずれも前年より低下しています。
オレンジ郡やサンマテオ郡といった都市部や沿岸部ほど格差は顕著で、根深い構造的な問題が解決されないままとなっています。
また、労働市場は今のところ堅調さを保っていますが、貿易摩擦の影響で将来の見通しには不透明感があります。
4月中旬の新規失業保険申請件数は若干増えて222,000件となりましたが、継続受給者数は減少しました。
とはいえ、製造業や小売業など関税に敏感な業界では雇用抑制や一時解雇の動きも出始めています。
このような市況の中、消費者心理は4月に入り8%という急激な低下を記録しました。
ミシガン大学の調査によれば消費者心理指数は52.2となり、1952年以来4番目の低さとのこと。
貿易政策をめぐる不安定さやインフレ懸念が原因で、多くの中間所得層が経済的な不安を感じているようです。
。。。
かくして、カリフォルニア州の住宅市場では供給量が大きく増えていますが、高止まりする住宅ローン金利と経済の不確実性が需要を押し下げています。
販売数は伸び悩み価格の上昇率も鈍化する可能性があるなか、今後数ヶ月は住宅購入を検討する場合、非常に慎重な判断が求められそうです。
引き続き、住宅市場、労働市場、消費者心理といったポイントに注意を払っていきましょう。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。