こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先日、5月7日に発表された連邦準備制度理事会(FRB)の金利据え置き決定とその背景にあるスタグフレーション懸念について、不動産投資家の視点で見ていきましょう。
今回のポイントは、次の3つです。
・FRBが政策金利を4.25%~4.50%のまま据え置いた理由
・トランプ政権の貿易戦争がもたらす経済への影響
・不動産投資における実践的な対応策
FRBは2025年1月以来の据え置き継続を決めました。
かくして、金融政策を動かさずに「データを見極める」姿勢を示していますが、労働市場の堅調さが金利据え置きの根拠です。
ところが、FRB声明では
「高失業と高インフレのリスクが高まった」
と警告しています。
これは率直に、1970~80年代に米国経済を苦しめたスタグフレーションの再来を指摘するものです。
スタグフレーションとは、景気停滞(Stagnation)と物価上昇(Inflation)が同時に進行する状態を意味します。
ここで不動産市場に目を向けると、2つのポイントがあります。
まず金利がしばらく高止まりする可能性です。
住宅ローン金利や不動産融資のコストが高止まりすれば、購買需要に冷え込みが生じる恐れがあります。
そしてインフレ懸念。
建築資材や労働コストの上昇が家賃や物件価格に転嫁されることで、不動産の維持コストが増加し、キャッシュフローに影響を与える可能性が多いに考えられます。
そこで、具体的な対応策としては
・変動金利型ローンを利用中の物件がある場合、固定金利への借り換えを検討する
・インフレ連動型リース条項(Rent Escalation Clause)を導入し、賃料改定のタイミングを規定する
・物件ポートフォリオの分散を図り、金利・インフレリスクを軽減する
等が考えられます。
また労働市場が依然として堅調である点は、不動産投資家にとって安心材料です。
最近の雇用統計では2025年4月に17.7万人の雇用増加、失業率4.2%という水準が維持されました。
このような労働市場の強さは、賃料収入やテナントの支払い能力を支える要因になります。
とどのつまり、現状は
「まだ下落局面ではないが、警戒は必要」
というフェーズと言えます。
そこで、私たちとしては現在の投資戦略をどのように見直すべきでしょうか。
例えば、新規取得を検討している方は、金利とリース条項の内容を再確認する必要があります。
・FRBは5月7日に利上げではなく「据え置き」を選択した
・背景にはスタグフレーション懸念と労働市場の二律背反がある
・不動産投資家は金利・インフレリスクに備えた資金調達・賃料設定を検討すべし
という点を踏まえ、今後も経済指標や貿易交渉の動向を追いつつ、慎重な判断を心がけていきましょう。
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