こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、多くの売主が市場の現実を無視した価格設定をしているため、物件が売れ残るケースが増えているようです。
全米で住宅価格の値下げが目立つようになり、特に南部や西部では顕著な傾向となっています。
売れ残る状況にもかかわらず、売主の81%が自分の希望価格以上で売れると考えているのです。
このことは、パンデミック時の不動産ブーム時に購入した売主が多く、当時の価格高騰の記憶に引きずられていることが主な原因と予想されています。
「多くの売主が現在の市場では非現実的な価格に固執している」
というわけです。
私自身も、パンデミック時に物件を購入したお客様から、相場とかけ離れた高価格で売りたいという希望をよく耳にします。
特に問題となるのが、リフォームやペイントなどの表面的な改装を行っただけで大きな付加価値がつくと勘違いしてしまうケースです。
実際には、ペイントや庭の手入れ、照明の交換などは売却スピードを多少早めることはできますが、物件の売却価格を大きく引き上げることはありません。
「少し手を入れればすぐに数万ドル上乗せできると錯覚している」
とは、某アメリカテレビ番組の影響です。
さらに、過度な高値設定は物件が市場で長期間売れ残る「Stale listing」状態を招きます。
一度「Stale」になった物件は誰が見ても魅力的とならず、
「この物件には何か問題があるのではないか」
という懸念を生んでしまいます。
実際に、最近では市場に出ている物件が平均で50日以上も売れ残ることが増えているようです。
「物件を高値で売り出すと、結局は市場の価格に追いつこうとして値下げを繰り返し、結果的に大損をする」
というサイクルが始まるわけです。
オンライン掲示板Redditでも、高値設定で後悔している売主の嘆きが目立ちます。
ある売主は改装済み物件を10万ドル以上高く設定し、半年以上売れない苦い経験を投稿している様子。
また別の売主は、夫がエージェントのアドバイスを無視して相場より25%も高く設定したため、売却が進まず大変苦労しているようです。
このような状況を避けるために売主は自分の物件価格を客観的に評価することが何より大切です。
現在の市場価格や最近の取引事例をベースに、現実的な価格設定を行うこと。
不動産エージェントやコンサルタントのアドバイスにしっかり耳を傾けること。
そして市場の動きを理解し、そのアドバイスに沿って価格を設定すれば、最終的には十分な利益を確保できます。
不動産売却は長距離マラソンのようなもので、最初の価格設定を間違えると、スタートラインですでに大きく出遅れてしまいます。
市場と対話し、柔軟に対応することが売却成功の鍵なのです。
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