こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日は多くの方々が混同しがちな、Tax-Assessed Value(課税評価額)とMarket Value(市場価値)の違いについて解説します。
投資を考える際、重要になるのが不動産の「真の価値」です。
「真の価値」というと曖昧に聞こえるかもしれませんが、そこには2種類の異なる評価基準が存在します。
前提として、商売におけるMarket Value(市場価値)とは何でしょうか。
Market Valueとは、簡単に言えば
「買い手が払ってもいいと思い、売り手が受け入れてもいいと思う価格」
です。
不動産の市場価値は以下の要素によって決まります。
・外観や敷地面積、住宅スタイルなど外部要素
・部屋数、設備の状態、エネルギー効率など内部要素
・近隣で最近売れた類似物件(Comps)の取引価格
・需給バランス(買い手と売り手の数)
・物件の立地と地域の魅力度
こうした要素をもとに、不動産エージェントや鑑定士が適切な市場価値を算出します。
これに対して、Tax-Assessed Value(課税評価額)は、地方自治体(通常は郡の税務査定官)によって決定されます。
課税評価額を決める際には以下の点が考慮されます。
・近隣での最近の類似物件の売買価格
・物件の状態や最近の改善状況
・物件が生み出す潜在的な収入(賃貸収入など)
・災害などで被害を受けた場合の再建費用
例えば、物件の市場価値が50万ドルで、地元の評価率が80%の場合、課税評価額は40万ドルとなります。
この額が固定資産税の算出基準となるのです。
では、この2つの価値の違いがなぜ重要なのでしょうか。
投資家として知っておくべきポイントは、多くの場合、課税評価額は市場価値よりも低く設定されることが多いという点です。
例えばオレゴン州では、課税評価額の年間上昇率が3%までと制限されているため、市場価値が急激に上がっても課税評価額は緩やかな上昇に留まります。
投資家にとってこれは「好都合」です。
課税評価額が低ければ固定資産税の負担が軽減されるため、キャッシュフローが改善する可能性があります。
その一方で市場価値は、売買時に直接影響するため、物件購入や売却時の交渉で重視されます。
また投資戦略として、市場価値が課税評価額より大幅に高い物件を見つけることで、将来的な資産価値の向上やキャピタルゲインを狙うこともできます。
けれども注意したいのは、課税評価額を基準に価格交渉することは現実的には難しいという点。
特に現在の市場では在庫不足が続き、依然として競争が激しいため、市場価値が課税評価額を大幅に上回ることが多くあります。
そうすると不動産投資家としては、市場価値を主軸に物件評価を行い、課税評価額は税務上のコスト管理として活用するというスタンスが賢明かもしれません。
課税評価額と市場価値の違いを正しく理解し、賢い不動産投資を進めていきましょう。
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