こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
米コロラド州デンバー市場が急速に冷え込んでいるようです。
「あの熱かったデンバーが?」と思うところですが、かつて全米でも注目されたデンバーの不動産市場に、明確な変化の兆しが出ています。
10,000件超の在庫急増とその裏にあるもの
まず数字を見てください。
2025年4月時点で、デンバー都市圏のアクティブな売り出し物件数は10,354件。
これは前年同月比で65%増という驚異的な増加で、記録が残る2017年以降で過去最高レベルです。
つまり、供給過多です。
しかも同月の新規売り出し物件は前年から24%増えた一方、契約予定件数(Pending Sales)はたったの2%しか増えていません。
ということは、明らかに「売りたい人が多すぎる」状態なのです。
価格は下がり始めている
この供給過剰は当然、価格に跳ね返ります。
4月の中央値リスト価格は$599,450で前年同月比で4%の下落。
平方フィートあたりの単価も1%下がりました。
特に注目したいのが、コンドミニアムとタウンハウスなど「アタッチド住宅」の動きです。
デンバーではこのアタッチド住宅が全体の34%を占めており、全米平均(22%)を大きく上回ります。
そのアタッチド住宅のリスト価格は、なんと7.3%も下がっています。
これは単なる一時的な値下がりではなく、構造的な調整が始まったサインかもしれません。
なぜデンバーで価格が下がっているのか?
考えられる主な要因は次のとおりです。
- 州外からの転入減少
- 住宅保険料の高騰
- 賃貸用の集合住宅が大量に新築され、家賃が急落
- HOA(管理費)の高騰
- 住宅ローン金利の高止まり
- 地元住民の所得上昇が物価上昇に追いつかない
とくに「家賃が下がっている」点は見逃せません。
この流れで家賃が7%下がったことで、若年層や初回購入者は
「今は買わずに賃貸でいいや」
と考える傾向が強まり、市場から退場しています。
では、デンバーで今、不動産を売るにはどうすればいいのか。
地元エージェントによると
- 「価格設定を間違えると、その物件は二度と買い手の目に入らない」
- 「買い手は“手直し不要の物件”を求めている」
- 「適正価格で、内装も綺麗な物件ならまだ複数オファーが入ることもある」
とのこと。
つまり、「丁寧に整えて」「現実的な価格にして」「最初から勝負をかける」。
これが、今のような買い手市場においての鉄則のようです。
価格が下がってきたデンバー市場は、投資家にとっては「仕込み期」となるかもしれません。
とはいえ、行動するかは以下のような前提で判断する必要があります。
- 短期転売(フリップ)は難しくなる可能性が高い
- キャッシュフロー投資なら、保険料とHOAを要チェック
- 今後1年でさらに9%下がるという予測もある
- 逆に価格下落で現金購入者が強くなる可能性も
かくして、デンバーの住宅市場は明らかに分岐点に差しかかっています。
売り手は「丁寧に売る」姿勢が求められ、買い手・投資家は「慎重に仕込む」時期です。
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